嘘は処世術だと思う。向社会的な部分だけを見せていれば、まともな人間に見られてまっとうな扱いを受けられる。だから私は嘘をつく。毎日毎日毎日。
うるさい黙れお前なんかどうでもいい現実を見ろ、ブスキモい、びっくりしたあんなブスいたっけ?そう言われたから人に何かを相談することはなくなったし、ダイエットも整形もしたし見た目にも気をつかった、自分を嫌っていることすらも知られないように自信ありげな振る舞いを身に着けた。ありもしない思い出話を作って話した。他人に肯定され続けてときには挫折もして生きてきました、本当はクソブス引きこもりオタクだったけど。幸い何かの病気であるという診断を受けたこともないので社会的制約を受けることもない。明るい人間になりすまして、偽って、塗り固めて話す。
死ぬまでずっとそうなのかな?
就活でも嘘をつきまくっていたら内定がいくつか取れた。人を見る企業というけれど、別に仕事に関係ないことなんてどうでもよくて、働いてくれさえすればいいんだ。当たり前だよなそんなの、カウンセリングじゃなくて面接、人生をかけるわけでもないただの仕事なんだから。わかってるけど、合格通知を見ても虚無感しか感じなった。
私の嘘は、私の罪でも欠点でもない。そんなことは分かっている。空腹や痛みに耐えて泣きながら手に入れた容姿も、身につけた立ち居振る舞いも、全部私だ。でもたまに思っちゃうんだよ、お前は誰なんだよって。
多様性が尊重される時代、私を受け入れてくれる人だって世界中探せば割とたくさんいるのだろう。でもそんな誰かを探す気力もないくらい、疲れた。たった二十何年の人生でこんなズタボロになって、これ以上何かを頑張ろうとかもう思えない。頑張らないで生きたい。もうこのままでいいじゃんと自分でも思うけどそうもいかない、いつか言われた言葉たちが、今は自分が自分に投げかける暴言になっている。お前がありのままで受け入れられることはないよって。
もう嘘をつきたくない。意外とみんな似たような悩みを持ちながらもなんとか生きているんでしょう?隠して。割り切って。理解される必要もないと思いながら、でも誰かに支えられてさ。
私は拗ねているだけ。それだけ。
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