■

たとえばひとりで道を歩いているとき

往来に「死ね」とか「低能」と大声でわめきちらす輩がいたら

「お前は多数に迷惑をかけている、今から警察に通報するから留置場で反省しろ」とか正論をぶつ前に

「うわ怖、この道は避けて別の道を通ろう」と思うのではないだろうか

たとえばひとりで道を歩いているとき

往来に「死ね」とか「低能」と大声でわめきちらす輩がいて

大勢の人がそいつを取り囲んで

「お前は迷惑な奴だな」「どうしようもない野郎だ」「早くこいつを逮捕しろ」と口々に叫んでいたら

その取り巻きに混じって「そうだ、こいつは馬鹿だ」と言葉を浴びせるだろうか

それとも「なんか面倒な事態になっているな、避けて通ろう」と思うだろうか

ネット上でイキっている阿呆に正論で殴りかかる行為はよく見かけるが

そいつが追い詰められたすえに後先考えなくなってだれかれ構わず殺しにくる可能性まで

考えているひとはどれだけいるだろうか

彼はある程度有名なうえに犯人の近くにいたために不幸にもターゲットとなってしまったが

そこに彼がいなければ他の誰が死んでいてもおかしくなかったのかもしれない

大勢でぶったたいている時リスクは薄まっているように思えるが、ゼロにはならない

言論の敗北とか法治国家がどうとかの問題ではない

いくら正論を盾にしようが、本気で殺しに来た人間の包丁を防ぐことはできない

ネットセキュリティの会社を経営している人間でも、ネットセキュリティで人体は守れない

殺人を犯した奴のほうが正しいとか言うつもりはもちろんない

ただ、生い立ちや学歴がどうであれ

ネット上で大勢にぶっ叩かれて追い詰められた（と当人が考えた）結果

殺人に走る人間は現実に存在する

ということを念頭に、脆弱な肉の器を持つわれら一般人としては

避けるべきリスクは避けて通ったほうがいいのではないか

と考える次第だ

Permalink | 記事への反応(6) | 16:20

ツイートシェア