ある定時退社日の水曜日の夜、俺はタイ古式マッサージ店に行った。
ちょっと太ったタイ人のオバちゃんに、5000円を払い、60分の全身リラクコース。
言う通りうつ伏せになった。オバちゃんの足が俺の足の裏にのっかり、オバちゃんは足踏みを開始する。
オバちゃんは足踏みを終え、そう言いながら俺の肩に手を当て体重を乗せてきた。
そしてケツに硬い感触がする。膝だ。オバちゃんの両膝蓋骨が臀部をグリグリと刺激する。
この段になってようやく俺は自らの失態に気がついた。
チンポジが間違っている。
俺は普段正面を向いて右サイドを居場所としているのだが、このとき左にポジションチェンジされてしまっていた。
かつ位置は中途半端。亀頭は恥骨直上。更に悪いことに皮が剥けてしまっていて、ダイレクトに刺激が伝わる格好だ。
こんなとき包茎は無力だ。焦りは募る。オバちゃんの膝が揺れる。
痛い。しかもこの刺激で半勃ちになってきてる。余裕のない皮がさらに伸ばされる。
痛みと羞恥が俺に性的な快楽を感じさせる。やめろ。このままではいけない。
オバちゃんは背中に膝を移す。少し余裕ができた。
ポジションを修正しなければいけない。今の場所はいかにもまずい。
もっと前に沈み込みませ玉際に落ち着くか、思い切って反らすかする必要がある。
顔の両脇に置いていた手を少し下に下げる。オバちゃんがそれを阻む。
手の正しい位置は顔の脇だと元に戻す。(今直すべきは手ではないのに。)
膝が背中から腰に落ちる。腰がちょうど良い感じに押されて気持ちいい。
これはマッサージの気持ち良さなのか?それとも性的な快感なのか?
抵抗も虚しく強制的に快楽を与えられ、次第に俺は分からなくなってくる。
「アオムケナッテネ」
俺は凍りついた。なんだって?
「アオムケ」
勘弁、勘弁してくれ。勃ってんだ。勃ってるんだよ。
しかもそのポジションの悪さから、おそらく仰向けになったら丸わかりだ。
だがどうすればいい?どうしようもない。
俺は悪くない!俺が何をした?俺はただマッサージを受けに来ただけのはずだ!
犬は腹を見せることで降参と服従をアピールするという。俺の気分は、それよりも酷い。
チンポジが悪かったばっかりに。