すこしまえに、友達が行ってみたいというので、おそらく女性のオタク向けのカフェのようなところに行ってきた。
そこには色々な設定があって、スタッフの男の子同士が先輩後輩だったり、先生だったりして、そういう設定の上でのスタッフさん同士の絡みなんかを横目に見つつ、カフェとしても楽しめる、みたいな感じ。メイドカフェと同じで、特別メニューを頼むとなにかやってもらえたりする。
少し高価なメニューになると、スタッフの男の子二人に、好きな設定で寸劇?をさせられる、みたいなのがあった。面白がって友達が頼んでみていた。ルームシェアで一緒に住んでいる男友達同士、片方が片方を好きで告白する、みたいなやつ。
それがもう、ものすごくぎこちない。男の子たちは20歳前後くらいで、人によっては高校生みたいな感じで、お客さんに言われた設定に戸惑いながら、ノリきれない気まずさを滲ませた棒読みのセリフを言って、半ばヤケになって、片方が片方を押し倒して雑に体をまさぐるような真似をした。二人とも、あまりやりたくなさそうだった。
一緒に行った友達は爆笑して楽しそうにしていたので、楽しめる人もちゃんといるんだな、と思ったのだけど、私には無理だった。何より、特別メニューという体裁でお金を払うことで、人に意に沿わない、性的な匂いが皆無ではないことをやらせている、と自分が思ってしまう状況が耐え難かった。私は今、札束でひっぱたいて、人間の尊厳をほんのひとかけらかもしれなくても、搾取しているのではないか、という罪悪感がいたたまれなかった。そういうふうに感じずに楽しめる人ももちろんいて、それがどうこうとは思わないが、私には辛かった、という話。
これがもし、すごく上手にオーダーをこなす大人の人で、寸劇の完成度が高かったらこんなふうに感じなかったかもしれない。それは「意に沿わないこと」であってもそう感じさせない、もしくは求められたことについて「意に沿わないこと」を外して、それでもきちんとオーダーをかなえる力量が向こうにある、というだけで、構造はだいたい同じなのに、それに対しては罪悪感を持たないかもしれない、ということなので、いい加減な基準だなぁと自分でも思う。
金銭の対価としてのサービスの範囲内で、相手を尊重して、意に沿わないことをさせないように、というのは、性的サービスの場合にはけっこう難しそうだな、と思った。
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