例えば、あなたは生活保護の受給申請を受け付ける担当・責任者です。ある生活保護受給申請をしてきた人がいるけれども、その人は書類不備でした。しかし申請してきた人にはわからないけれども、自分が少し手直しをすれば十分申請を通す事ができる。ルール上本来であれば申請してきた書類に手を加えてはいけないとされている。さて、あなたは手を加えますか?それともそのまま突き返しますか?
もう一つの例として、あなたはある会社の財務担当社です。このままではあなたの会社は資金ショートしてしまうのですが、ある会社が大量に購入してくれると申し入れがありました。しかし、その購入は月末にはキャンセルして、お金を返金してほしいという申し出でした。ただ、月末には銀行から融資の振込があり、資金ショートを免れることができます。加えて黒字だったので、どんどん利益を伸ばすことができます。この場合、あなたは取引先の申し出を受けますか?断りますか?
サンデル教授の正義の話と同じ性質を持つものだが、普通に生きている上でも十分上記のようなことは起こりうる。もちろんルール通り運用することは正しいことであり、避難されることではない。しかし自分が少し手心を加えることで、多くの人が救われるという場合も往々にしてある。
あまり社会経験を積んできていない人、考える力が足りない人というのはだいたいルール通りやればいいと考えがちだ。それは間違いではないが、ルールを逸脱した人にはそれなりに理由があるということを忘れてはいけない。意見を変えろとは言わないが、自分と違う意見を持つ人の立場に立って考えることも大事だということだ。