オッサンが嫌いだ。
何歳から先がオッサンというのか知らないが、あのオッサン特有の図々しさが本当に嫌いだ。
前の会社に勤めていたとき、部下に責任を丸投げするオッサンがいた。
その会社は業績も悪く全くボーナスも出ず、いわゆるゾンビ会社と言ってもいいような田舎の中小企業だった。
上役のオッサンどもは全くやる気がなく、部下に雑用を押し付けてさっさと自分は先に帰るような連中だった。
しかしその分自分を含めた若手はオッサンが帰ってからの自由度があり、そこである日新しいサービスを考えついた。
最初提案をしたらオッサンどもは渋い顔をしたが、自分たちでやりますと言ったらこっちに迷惑かからない限りはよいということを匂わせてOKを出した。
オッサンが帰ってからサビ残や休日出勤も辞さないで頑張ったら、それなりに成果が出てきた。
必死に頑張ってついにルーチン業務の本業よりも売上が追い越した月ができて、自分らは「これで自分たちも認められる」と喜んだ。
すると急にオッサンどもも残って仕事に口を出すようになってきた。
取引先が大きくなってくると「そこは自分が昔口利きをした」とか「そのやり方では通らない」とか言い出して、いつの間にか組織再編と称してまんまとオッサンの一人が部署の管理職に収まった。
もともとそれまでにない方法でサービスを考えたから成功したのに、結局元通りのやり方に押し込められたせいでまったく面白みのないサービスになってしまった。
手柄はオッサンどもが総取りして、もともとの体勢に吸収されて、頑張ってきた自分らは飼い殺し状態になった。
同じく会社を辞めた人は、みな誰よりもやる気があって前向きで優秀だった。
オッサンは近くにいるだけで人のやる気を奪う。
安全になってからノコノコと前線に出てずっと指揮を取ってきたかのように振る舞う連中は、自分を恥ずかしいとも思わないのかと今でも苦々しく思い出している。