これ以上被害に合われる方が出ませんように
なのに、この医者はずっと検査データの写ったパソコンのモニターや検査用紙を見たまま話しているのだ。
データを見ながら話さなければならない部分も当然あるだろうが、この人は「意識的に」患者である自分と目を合わせようとしていないことが感じられた。
一方でマシンガントークは饒舌で、時には難解な用語を用いてしゃべり続けている自分自身に酔っているような様子でもあった。
ムダな重複も多く、要領を得ない説明も多かった。
伝えよう、分かってもらおうという気持ちが伝わってこない。
久しぶりに会った親戚のオバチャンの、特に要点もない話につき合わされた気分だ。
こんなにダラダラしゃべって、次の患者は待っていないのか・・・?
具体的には省略するが、要は仰向けにという指示の時に、ついうつ伏せになってしまったのだ。
同様の失敗をついやってしまったことがあるが、普通はうっかりミスに関しては「そっちじゃないですよ~」と優しく誘導してくれることがほとんどだ。
だがこの医者は違う。
故意ではないことは明らかなのに、この医者は「そういうことをされるとね、〇〇が××で・・・」と素人が決して理解できないような用語を並べ立てて説教をしてきた。
診察に協力してくれ、という要求ではない。
イラっとして、弱い立場の患者を専門用語で威嚇し、患者の恐怖を煽って従わせようとしていることは明白だった。
ただ、こういう感情的になっている人間はなだめるのもチョロい。
「ごめんなさい、ついクセで。本当にすいませんでした」と素直に謝って反省している姿を演技して見せれば良い。
こういう人間は、本当に医療を通じて人に貢献したいと思って医者になったわけではない。
自分自身や、自分の意見が無視されることや大切にされないことが死ぬより怖いだけなのだ。
(続く)