お酒を飲んで気分が良くなった時など、話を盛ってしまうことがある。
しかし、1を誇張して10にすることはあっても、0を10にすることはない。
彼にとって救いだったのは、周りに愛想を尽かされず、うそつきキャラとして居場所を得たことだろう。
私と彼は、大学のゼミの同期だったのだが、出会った当初は「自分は政治家と知り合いだ」「株で儲けた」など自分を大きく見せる発言を繰り返しており、正直好きになれなかった。
しかし、ゼミ合宿の打ち上げで、彼が童貞であることが発覚する。
彼は、これまでの発言から推測するに経験人数は3人で特殊な性癖の持ち主であった。彼の従前の飲み会での下ネタはとても面白かった(女性陣には大不評であったが)。
初体験の話も面白可笑しく話していたので、ゼミのメンバーはみんなその内容を知っていた。
しかし、酒を飲みすぎた彼は致命的なミスを犯す。そこで話された初体験の内容が、これまでの内容と異なるのだ。
そして、ついに彼は全てをゲロし(物質的な物も含め)、泣きながら謝罪をした。
自分はつまらない人間で、嘘でもつかないと誰とも繋がることができない弱い人間なんだ、と彼は言った。
みんなお酒を飲んで泥酔しており、また彼の話が切実だったこともあり、そして何より彼の嘘は誰かを傷つけるものではなかったので、彼は許されることになった。
彼の告白は本当なのか?という疑問もあるかもしれないが、その場にいた人間としては、彼の告白は真実だろうという謎の確信があった。
そして、何よりの証拠として、その日以降彼は変わった。
「面白い話を考えたんだけど、言っていい?嘘だけど」と前置きしてから話すようになったのである。
まぁ、彼は確かに嘘つきであったし、人を傷つけなくても嘘は嘘だろと厳しい声もあるだろう。
しかし、彼は優しい良い奴なのだ。私だって、嘘をついてまで自分に価値があるんだと言いたい時もある(くだらない虚栄心といわれても仕方ない)。
そんなこんなで彼との付き合いは卒業した今も続いている。
彼は、何の価値もない俺と友達でいてくれてありがとうと卒業式に言った。
その言葉に対して、めちゃくちゃクサい返答をしたのだが、それは恥ずかしいので書くのはやめる。
例のツイッターで思い出したので書いた。
冷泉明彦の場合は嘘つきのうえに弱いものいじめを生業にしてるからどうしようもないんだよな