2016-05-05

GWを巡る冒険

僕が5月5日を抜けると、そこには平日があった。

覆面の怪人が殺戮を繰り返すわけでもない、なんの変哲もない、平凡な金曜日だった。

とりあえず僕は、終わりかけたこどもの日の気配を感じながら、

リビングに座って、簡単な夕食をとることにした。

余り物のリゾットフライパンで軽く熱を通して、パルミジャーノチーズおろして、パセリを添えた。

冷蔵庫からビールをとりだして、半分ほど飲んだ。

そして、2016年のゴールデンウィークが、僕にとってどういう意味を持っていたのか、考えた。

それは、とても長い休日だった。

長すぎた、と言ってもいい。

僕の中にあった会社員としての生活習慣は粉々に破壊されてしまっていた。

そのような長い休日に、人々は驚くほど色々なことをする。

電車に乗って、美術館に、テレビ特集された日本画家の展示会へ行く。

飛行機に乗って、行ったことのない国へ親友たちと旅に出る。

車を運転して、長い間会っていなかった両親の元へ帰り、自分の子供の成長した顔を見せる。

まるで長い戦争から帰ってきた兵士が、故郷勲章を持って帰るように。

そういう意味において、僕はこのゴールデンウィークを驚くほど無為に過ごしていた。

元々友達と言える程の人間はいないし、月に一度会ガールフレンドとも連絡をとらなかった。

テレビUターンラッシュ高速道路を映していた。

去年もその前の年も、もしかしたら僕が生まれときから、同じ光景を同じ日にちに放送しているのかもしれない。

残った缶ビールを流しに捨てて、大きく息を吐いた。

とにかく僕は、前に進まなくてはならない。

そこにどんな未来があったとしても。

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