2015-11-18

何だったんだあれは

女友達と2人で飲んでいた。

普通居酒屋で、雰囲気的にデートに使えなくもないだろうけどあいにくテーブル席だ。

平日だったし立地の割にはそんなに客は入っていない。

いつものように、なんとなくとりとめのない話をしていた。

そいつとはこんなこと今まで何度だってあった。

高校時代からの付き合いだが、たまたま友人の結婚式で再会。

お互い職場が近く、お互いグルメなのもあっていい店を見つけては教え合ったりしていた。

デートなんてもんじゃない。大衆酒場だってラーメン屋だって行くし、2人でバーのカウンターで飲んでもカラオケに行っても何事もなく出てくる。

仕事のことからお互いの恋人のことまで何でも話せる。そんな気楽さが好きだった。

今回は向こうが見つけた串焼きの店だ。いつものように、腹も膨れいい感じに酔っ払って店を出て駅に向かった。


駅について改札をくぐった頃に、ぐっと手を握られる。

手を繋いだままホームに着き、今度は胸に顔を埋められる。

今までこんなことはなかったけど、その時は「あーこいつ酔っ払ってんなー。」くらいにしか思っていなかった。

半年前にそいつ彼氏と別れたことは聞いていた。

唐突そいつが口を開く。

あんたって結局経験人数何人なんだっけ?」

「何をいきなりw んー、4人。」

「えー意外とチャラいんだw私1人しかしたことないのにw」

「嘘だろ。俺が知ってるだけで2人は彼氏いたろw」

「知ってると思うけど私ピュアからさーw 最初の一人は半年付き合っても一度もしなかったし。」

「さいですか。」

「…ねえ、最近エッチしたのいつ?」

「3週間前。」

彼女は?w え、別れたの?w」

まさかw 最近お互い忙しくて。」

「そう。私は半年前。」

「でしょうねw」

電車が来た。そいつの家の方向だ。

そのまま手を引かれる。そのまま2人で電車に乗る。

「俺逆方向なんだけど。」

「いいじゃん別にw」


その後はあんまり覚えてない。手を引かれるままそいつの家にいた。

当然の話、振り切って帰ろうと思えばいつでもできた。しなかったけど。

ちょっと好奇心と酒の勢いのなせる技だ。



そいつシャワーを浴びてる間に彼女に「おやすみ」とだけLINEを送った。

独特の背徳感と高揚感がこみ上げてきたのはよく覚えている。

それから、どちらからともなくキスをしてセックスをした。

経験したことない状況にしては意外すぎるほど淡白だった。



翌朝、駅まで2人で歩いた。おれがよく知っているいつものそいつだった。

酒の勢いってこわいねなんて笑い合って、駅で別れた。

あれって、本当に何だったんだろうな。

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