「オコエ = 野獣」と見なす記事があったが、これは人種差別ではない。
なぜなら、「黒人 = 野獣」という(人種的な)偏見は存在しないからだ。
一方、
黒人の身体能力は、白人と比べて特に優れているということはない。
強いて言えば、ケニア人が長距離走に強いが、これは特殊な環境要因(高地)だ。
遺伝子的に見ても、黒人・白人・黄色人種に形質的な差はほとんどない。
どこをどう見ても、「黒人 = 野獣」という概念は成立しないし、
ゆえに、「オコエ = 野獣」と見なすのは、たとえ偏見であるとしても、
さらに言えば、ここで言う「野獣」とは、ライオンやトラや野牛やサイのような
特に限定された種を指定しているわけではなく、単に「体力抜群」ということを
意味しているにすぎない。
換言すれば、「野獣 = 人間離れした体力」という比喩表現であるにすぎない。
たとえば、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」(モハメドアリ)というのは、
そして、「オコエ = 野獣」も同様だ。
ではなぜ、人々はこの記事を見て、「人種差別だ」と表現したのか?
私だったら、「黒人・白人・黄色人種に差はない」と理解しているから、
「野獣のような黒人系の混血児がいる」と聞いても、「ただの個体例だな」
と思うだけだ。ところが、世の中の人々は、これを特別な人種的形質だと
たくさんの黒人を探しても、オコエみたいな身体能力のある人はほとんどいない。
ダルビッシュもそうで、イラン人を探しても、ダルビッシュみたいな人はいない。
室伏もそうで、母親のいたルーマニア人を探しても、室伏みたいな人はいない。
では何かというと、「雑種強勢」で、混血児には特別に優秀な形質が備わりやすいのだ。
オコエが特別に優れているのは、黒人だからでなく、混血児だからなのだ。
ここを混同して、「人種差別だ」「黒人差別だ」なんて思うのは、根本的な勘違いだ。