遠く離れたオフィスにいるけど、運用と開発という業務の関係上、
お付き合いが深い方がいる。
電話をかけることも多々ある。
ただ、実際にお会いしたことは一回しかない。
初めてアポイントを取ったのは今年の五月だったので
実際一緒に仕事をさせていただいたとも言えるのは
遥かに濃い付き合いだ。
卒直な話、その人がいないと業務の半分は回らない。頭が全く上がりません。
お世話になったお礼をその方にしたいと何となく焦る気分になった。
いつもお世話になっております。
天啓であった。
……
定時に帰るので何かございましたら、ご連絡下さい。
普通に応対を返して閉じてしまった。西村さんのニの字すら切り出せなかった。
……
意気消沈して、残りの時間を仕事に励む。それから再び内線がなったのはすぐのことだった。
……
うわぁ、良かったですね!
便りがないのは良い便り。この言葉に悉く裏切られてきた身としては、それが結果としてたわいない問題であっても、解決できたという事実はほっと心を落ち着かせるには十分だった。
……
言いたいこと言えてない。
頭を抱えたくなった。
まだ定時前だ。
まだ時間はある。
まだ手順操作は残っているから、問題ないかフォローアップすればいいのではないな。
果たして3度目の電話は定時間際、こちらからかけることにした。
Nさんではなく、Kさんに。2度目の電話から半刻も立ってない。
……
はい、◯◯のKです。
増田です。
お疲れ様です。
いつもお世話になっております。
、進捗はどうでしょうか。
めっちゃ変な切り出し方してもうた。あかんこれ。LINEスタンプとtumblerのせいだ。
内心をぐるぐる混乱で回したら、話はあっという間に終わっていた。
精々最後に言うのが精一杯だった。Nさんにもよろしくお伝え下さい。言葉にならないものを含ませて。
……
多分電話を再確認してくるウザい心配性あたりに思われたんじゃないだろうか。
電話にかこつけて、年末年始の挨拶をかわしたかっただけなんだ、自分は。
でもその思いはもう届かない。
結局そのまま帰社してしまった。