2014-12-07

幸せになれそうもない私の話を聞いてみる?

客観的にはきっと羨まれ人生なんだろうな。

えんなとか世の中ナメてるとか、言われるんだろう。

だけど、私より不幸な人を見たことがない。

いつも体の中に泥がつまっているみたいな感じがする。

生きてて楽しいって感覚が、ぜんぜんわからない。

利口で計算高く生まれついた私は、子供の頃から要領よく大人をナメ腐って利用して生きてきた。

汚らしい愚かで浅はかな奴ら。

だってゴーギャンの絵に描かれた深いメッセージハイネの詩も読めないなんて。

きっと脳に神経の代わりに納豆菌がつまってる。

東京美大に通うために上京してからは、いいようなものになりかけてきたけどね。

でもやっぱり大人はダメね。

まらなくて形にはまってて、眩い物なんて何も生み出せそうにない。

でもでも、じゃあ私はどんな芸術ができるのって言えば、何もできないの。

絵を描いても詩を書いても、何もない。

心が動かない。

偉大な芸術家作品からは感じれるのに、その美しい何かが私の中を通ってキャンバスに吐出されると泥水みたいになって。

まらないつまらないつまらない。

これじゃ私もつまらない大人になっていく。

だけど、そうじゃない人もいて、彼女が作るものは美しくて儚くて、きっと深いところで宇宙と一体化してる。

時間の流れを生み出す何かなんだ。

でも私にはできなくて。

それに気がついて、私は学校を休学した。

休学して何をしていたかといえば、体を売っていた。

毎日毎日、抜いて挿して抜いて挿して。

これもきっと芸術の一種。

楽しくて仕方がなかったよ。

もう男のことは何でも知ってる。

男は女の裸を見てるつもりになってるかもしれないけど。

全部さらけ出しちゃってるのは男のほう。

2年間休みなく売り続けて、抜け目のない私は一財産築き上げた。

そして利口な私は、始めた時期もよかったんだけど、株でそれを倍にした。

配当だけで一生食うに困らないよ。

日銭を稼ぐために人生の大半を費やす汚い大人とは違う。

私は自由だ。

私は私の絵を描いて個展を開いて大学もなんとなく卒業して。

就職難に苦しむ凡庸クラスメイト達とは違った優雅な生活

現世に蘇った高等遊民とは私の事。

なんて大嘘

満たされない。

まらない絵、誰も感動なんてしない。

空間に広がっていく粒子が見えない。

あってもなくても同じ。

居ても居なくても同じ。

気がついたらまた体を売っていた。

でも今度は私がお金を払って売っていた。

抜け目のない計算高い私は、汚くて臭くて愚かな中年に一晩だけ夢を見させてあげる。

奥さんとはもう何年もしてないのね。

残業で遅くなるって言えば、むしろ喜ばれるぐらいなんでしょ。

私がここに居るって感じられるのは、この時だけ。

昨日彼女の絵を見に行った。

殺してやりたいと思った。

から今日も私は汚い男に抱かれて、抱かれて、抱かれて、アトリエ価値の無い絵を描いてから寝るの。

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