2013-11-27

製薬業界のゆくえ

今、日本には1兆3,000億円ぐらいのバイオ市場があります。これは人口当たりにしますと米国より多いんですけれども、内容を見てみますと、その8割ぐらいがライセンスイン、あるいは輸入ということになります日本は、見事にバイオ世界では張り子の虎になってしまいました。どういうことかというと、日本バイオ産業の人たちが、1980年代の第一期バイオ研究開発競争ときに、この技術プロセス技術だと認識したわけです。ところが米国は、もう1980年からバイ・ドール法を成立させて、これから国際競争知的財産だということを認識しておりました。バイオおいてもこれはIP知的所有権=Intellectual Property Rights)のゲームだということを認識していたということになります

例えば1980年日本企業25社が遺伝子組み換え技術アルファインターフェロンをつくっておりました。ところが今、日本市場で組み換えアルファインターフェロンを売っているのはたった2社。米国のシェーリングプラウ社とスイスホフマン・ラ・ロシュ社、この2社です。彼らは物質特許を持っている。ですから日本企業はどんなに安くつくろうと市場から駆逐されていったわけです。

日本バイオ産業20年間を無駄にしたのはどういうことかというと、IP競争だということを認識しなかった。安く、納期に間に合って品質が良ければ勝てると思ってしまったんです。これは、ゲームルールの設定に関与できない、極東の一小国としてのいつもの悲哀ですけれども、米国国際ルールグランドルールを変えるときには、必ずそれを認識して早めに対応しないと常に負けてしまうということです。日本特許庁がこれに対応できるようになったのは1994年からです。ですから15年近く私たちは違うゲームをやってしまったんです。米国は、大きなグランドルールデザインをしながら国際競争の質を変えてきたんですけれども、日本は15年間そこを無視してしまった。そこに大きなポイントがあります

日本医薬品業界でもやっとこの失敗がわかってきたのですけど、バイオ機器業界みたいな弱小業界にこれを理解する人間いるかどうかです。

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