2012-08-07

むかしむかし

むかしむかし、ある所に働くのが嫌いな商人がおりました。

商人は、従業員に仕事をおしつけ、自分は日がな一日ぶらぶらしたり

商人仲間と釣りに行ったり、時には旅行をして人生を謳歌していました。

自動車も1年毎に買い換えていたでしょうか。

ところが、そんな経営も長続きはしません。

景気の良い時代は終わったのです。

あっという間に借金は膨れ上がり、返す当てもない借金を繰り返す商人

それでも、借金なんて怖くない、商売を続けていればいつか返し終わる と

借金に頼った経営を見直す素振りも見せません。

しかし、とうとう銀行から借金を断られてしまます

支払いに困った商人貯金を取り崩し始めます

その時に気がついたのでした。

もう、打つ手が無いと。

商人には息子がおりました。

息子は、商売を手伝いながら、こんな大人にはなりたくないと常々思っていました。

経営が傾き始めると、それ見たことかと父親を責めました

息子は、経営が傾くずっと前からこうなることは分かっていて、父親に改善しなければ

商売ができなくなると、訴えていたのです。

しかし、こうなってしまった以上、息子にもどうにも出来ません。

座して死を待つか、あるいは・・・

父親である商人は、まじめに経営をしてこなかったツケが祟って、今の状況が手に負えなくなっています

息子は、最後の頼みにと友だちの弁護士相談しますが、今あがいても後であがいても

倒産するのは一緒だから、もはやこれまでとなったら、また相談に来てくれと言われます

期待していた返答を貰えなかった息子は、これまでかと諦めかけますが、そこに経営相談所のMという男が現れます

その男詐欺師だったのですが、窮地に立たされていた息子は騙されてしまます

Mは色々な提案をしてきます

その度に、ここまで来た足代をくれとか、色々動いて経費がかかったかお金をくれとか要求してきます

広告には成功報酬2割と書いてあったのですが、それは嘘でした。

しかし、成功すればまた商売が出来ると思い込んでいた息子は、言われるがままにお金を払いますが、

結局、何一つ上手く行きませんでした。

やるだけやった。

もう、いっそこのまま商売をたたもう。

父親とそんな話が出た時に、Mは言いました。

ここから北へ何百キロも離れた遠い遠い国に宝の山がある。

から私と、北の宝の国へ行き、宝を山分けしよう。

心配はない、私の言うことを聞けば、もう少しだけ銀行からお金を借りられる。

そのお金を軍資金に使うんだ。

ヤケクソになった息子と父親は、その提案を承諾してしまます

時間も走り続け、ようやく宝の国にたどり着きました。

寝る所も食事をする所も、風呂もありません。

それに、これから宝を掘り当てるべく、ここで商売をすることになっています

どのみち後がないと思っていた息子は、商売道具一切を持ってきていました。

それから、月日が流れますが、宝は一向に掘り当てられません。

それでも、元の商売よりは幾分マシでした。

そして、Mと分かれる日が来ます

Mは口八丁手八丁で商売を采配しますが、最後には必ず問題が起こり

それを処理するのは息子の仕事でした。

言うことを守っても、一向に商売は上手くいかないし、宝も掘り当てられない。

そんな状況になっても、金をくれ 金をくれ 金をくれ

息子と父親の堪忍袋の尾が切れました。

そしてMと離れて少しだけ月日が立ちました。

息子はとうとう宝を見つけました。

正確には、「ある仕事をすれば宝をくれる」人を見つけました。

息子はがむしゃらに働きます

そうして、少しづつ宝をくれる人も増えていき、宝も手に入れていきます

振り返れば、北の国へ来てから色々有りました。

仕事をしたのにお金をくれない人×3

約束の期日にお金をくれない人×2

宝目当てで来やがって、目障りだから帰れと怒鳴りつける人

難癖をつけてお金をせびろうとする人

笑顔で近づいてきて広告費をだまし取ろうとする人×4

無理難題押し付けて、出来ないと暴言を吐く人

たった1年弱のうちに目まぐるしく状況が変わり、書ききれないほどの問題を処理し、

宝が増えるほど責任が重くのしかかる。

息子は疲れていました。

宝は手に入りましたが、まだ満足出来る量ではありません。

故郷に置いてきた妻と子供を思って涙する日もありました。

息子は、度々こんな事を考えてしまます

こんな思いをするなら、友だちの弁護士の言うとおりに倒産させて、

から出なおしたほうが良かったんじゃないのか。

稼げる金は少ないが、家族と一緒に慎ましく暮らしたほうが幸せだったんじゃないか

だったら、最初から宝なんて欲しなければ、楽に生きれたんじゃないのか。

俺はこの先、どうすればいいんだ。

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