こないだの続き
挨拶一つ、メール一つで「何か失礼な事をしなかっただろうか、怒らせやしなかっただろうか、不快な思いをさせなかっただろうか」等々
酷いものになると、自分が殆どかかわっていない事柄でも「迷惑をかけてしまった」と思いこんでしまう
(実際に見た例では、相手が遅刻してきたのにも関わらず「私が早く来てしまったばかりに相手に恥をかかせてしまった」と感じてしまう人がいた)
そして、そういう強迫的観念を生じさせないようにする為に人とかかわる事自体を回避してしまう
この傾向は、ロールシャッハテストの一指標である所のHVI(警戒心過剰指標)によって示されるだろう
この指標における日本人の陽性率は他国に比べて高い事が知られている
陽性者は、外界に対する防衛的で否定的・警戒的な傾向を有し、周囲の情報・状況の把握に多大な注意を払う
そして、自己や他者といった人間全般への関心(ポジティブ・ネガティブの両面で)が強い
この傾向は対人恐怖やふれあい恐怖心性と関係する
ふれあい恐怖心性とは対人恐怖と関係するもので、他者とのより深い関係になる場面・状況に恐怖を覚えるというものだ
例えば仕事や学校での表面上の付き合いは不自由なくこなせるのに
飲み会に行ったり遊びに行ったりといったプライベートな付き合いになると途端にどうしていいか分からなくなり、恐怖を感じる傾向の事だ
ふれあい恐怖心性の人々はそれゆえに、人との関係を“回避”する傾向がある
防衛機制でいう逃避などが関係し、十分な葛藤処理能力を獲得していないことを示唆する
向き合う事から、悩む事から逃げているという点で、(向き合い考えてしまうが故にがゆえに恐怖を抱く)対人恐怖より未熟な発達段階にあると考えられる
エリクソンのライフサイクル論では、人間は危機と向き合い、失敗と成功の両方を経験する事で次の発達段階に進めるとした
その理論で言うならば、やはり対人恐怖よりもふれあい恐怖心性の方が未熟な発達段階にあると言えるだろう
さて、ここまでで加害妄想・強迫性障害と対人恐怖・ふれあい恐怖心性がHVI指標によって近い概念である事が示唆された
回避する事、周囲の状況・情報の把握に注意を払う、自分・他者への関心の強さとその非現実さ、警戒・否定的な傾向