2011-11-11

はじめてでも再犯平成23年犯罪白書報道

平成23年犯罪白書が公開されたらしいのだけど、報道には「少年院出所後の再犯」なる用語が。

統計における「再犯」なので、刑法56条の定義する再犯のように狭くとらえるものでもないだろうが、

しかし、少年院には、犯罪少年触法少年以外にも虞犯少年が入所する。

虞犯少年(ぐはんしょうねん)とは、一定の不良行状(虞犯事由)があって、かつ、その性格又は環境に照らして、罪を犯し又は触法行為をするおそれ(虞犯性(ぐはんせい))がある少年少年法3条1項3号)をいう。

虞犯少年は、犯罪をしたとは限らない。具体的には、家出や不良交友、不純異性交遊などが虞犯少年に含まれる。

そうするとさすがに「再犯」という表現おかしくないか

どんなに広義にとらえても初めての犯行が含まれる「再犯」の定義はないだろう。

またマスコミの誤解しやすい報道なのかと思って法務省サイトを見に行ったのだが、今年の犯罪白書は残念ながらまだネットには公開されてないらしい。

法務省は省庁の中でも相当に用語の細かいところ気にするので(冤罪に対する考えなどが象徴的)、たぶん犯罪白書なりの定義があると思うのだが。

なお、去年の犯罪白書(今年と間違えて見てた)では、再犯者を

再犯者(前に刑法犯又は道路交通法違反を除く特別法犯により検挙されたことがあり,再び検挙された者をいう。以下この項において同じ。)

ととらえ、さらに、再非行少年を分けている。

非行少年(前に道路交通法違反を除く非行により検挙補導)されたことがあり,再び検挙された少年

 

本当に法務省再犯という表現をしたのなら、どうしてだろう?

虞犯少年少年院行く人なんて少数だからまり考慮に入れなくて良いと判断したとか、判例上要件が厳しいか犯罪を犯した者と同視してもかまわないと判断したとかも考えられるが、合理的でない考えはちょっと気持ち悪い。

その辺無視しても、昨今注目を浴びている「再犯」というキーワードを使いたかったということだろうか。

そもそも犯罪少年でありかつ少年院出所者の統計だったとか、マスコミ伝言ゲームのせいだったとかなら脱力する。適当な用語がなかったってのもありそうだ。

記事によると、少年院を出院した18~19歳が、25歳までに刑事処分を受けた場合再犯表現してるが、だいたい5年なのは刑法56条の再犯定義に準じているようにも見える。考え過ぎか。

 

なんだか不正確な情報から間違える人の典型になった気分だが、ネット公開後に見てみたい。さすがに買う気はない。

 

なお、朝日は、わざわざ「非行犯罪少年院に入った少年が、再び罪を犯してしまう割合はどのくらいか」と冒頭に書いてた。少年法では、犯罪行為、触法行為及び虞犯を併せて非行というので、なんだかこれもわかりにくい表現だが、少年院出所者には、犯罪に当たる行為をした者以外もいると言うことを注意してるならなかなか短い中でがんばってるのかもしれない。「再び罪を犯してしまう」が微妙になるが。

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