ここ1年、1ヶ月に1度くらいのペースで、友人の相談に乗っている。
誰もが知る大学に入り、有意義かつ優雅で充実した学生生活を送り、大企業の内定を得て、卒業。
絵に描いたような優等生として、決して少なくはないであろう妬みを買い続けて、歩み続けてきた友人が、ついに立ち止まった。
ついでに転んで、立ちたくても立てない状況なのだろう。
地頭の良さはあったけれど、努力も欠かさない。だから優等生であり続けられた。
友人自身にもその自負はあったのだろう。何でも出来て、常に上にいるのが自分、そういう自覚があったのだと思う。
また、有力者一族の一員なのだという矜恃が、コンクリートのよう心を固めてしまっていたのかもしれない。
自分は優秀だ、優秀であり続けなければならない、恥ずべき存在になってはならない、と。
(無論、これらは私の勝手な憶測に過ぎない。)
友人は人間関係に悩んでいる。
他人の悪い噂しかしない同期に馴染めないそうだ。
また、女性の方ならば良く分かるかもしれないが、女性は似たような価値観を持つ者たちとグループを形成し、
問題が起こらない限りは、グループの人間以外とは深い関係を結ばない、そんな厄介で面倒くさくてやり辛い傾向があるが、
友人の話を聞いて判断するに、押し並べて同じようなばかりが集まっているようである。
挨拶はするけれど、それ以上の発展はない。自分を貫くにしても大多数に迎合するにしても、辛そうである。
その上、お前はあそこの大学出身だろ、その上あの一家の出身なんだろう、と上司から何かに付けて言われているようで、それが重圧になっているらしい。
この2つの人間関係が影響しているのか、入社してからというものの消化器系に異常が出るようになり、新入社員だと言うのに
頻繁に遅刻早退、あるいは欠勤を繰り返すようになり、同期に遅れを取ってしまう結果となった。
仕事が出来ない、覚えられない、それが苦痛で仕方ない。仕事が出来ない、同期よりもずっと遅れている、そんな自分を認められない。
だから仕事をしようとするが、やはり出来ない。見事に悪循環に取り込まれてしまっている。
私はというと、優秀になりたくても、努力不足とか、元々出来の悪い頭であるとかでなれなかった人間だ。
中学生の頃までは、自分は優秀だと思っていたけれど、高校生の頃に平々凡々な人間だと気付き、大学時代に只の馬鹿だと悟った。
一度馬鹿だと分かると、気が楽になる。
どうせ馬鹿だから、と投げやりになってはいけないけれど、馬鹿だから出来ない、と自分に言い訳が出来る。
だから努力して、何かを得なければ生きていけない、と思うことも出来る。
友人に、馬鹿になれ、とは言わないけれど、もっと気楽に構えろ、なるようになるし、なるようにしかならない。
そういうことを伝えたいけど、いつも上手く伝えられない。この助言が合っているのかも分からない。
今週末、また友人と会うけれど、今度はどんなことを話すのか。