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2021-07-16

1980年代に書かれたコロナ禍を予測したようなSF作品

1980年代コロナ禍を予測したような日本SF小説作品があった。

大原まり子『薄幸の町で』。

去年くらいにもこの作品世界予言的だとSFファンツイッターで少し話題になった。

80年代前半といえば、ウィリアム・ギブスンが『ニューロマンサー』を出した少し後くらいで、日本でも神林長平柾悟郎といったハードSF的なリアリティベースになる知識豊富なうえでそれまでにない繊細な感性言語化するあらたな才能が頭角を現してきた頃だ。

大原まり子もそのムーブメントの中心にいて、詩的かつひりつくようなリアリティが持ち味だった。

連作である有楽町カフェーで』の中で作家志望の男の子目線で語られるとてもしあわせそうな女友達との関係が、『薄幸の町で』の中では致死性の感染症で一度も触れ合うことのないまま終わってしまう。

 アメリカはもう死んでしまった。

 ヨーロッパ各国も。

 オーストラリア中国も。ソヴィエトも半身不随らしい。

 世界は凍りつくように沈黙していた。

 日本最後までよく防御した。

 ワクチンの開発に全力をそそいだ。

 たぶん、エクソン‐サクマ26型と名づけられたこ風邪は、どこかの国の細菌兵器の一つだったのだろう。

『薄幸の町で』より

パニック暴動が起こるわけでもなく、少しだけ不自由になった日常生活の中で数日前まで健康だった身近な人がある日突然いなくなる。そういう一般人が目にする静かなパンデミック描写は切なくてやるせなかった。

その大原まり子最近ブログを見てみると、今は反ワクチン的な考えを持っているらしい。

公になっている医療情報鵜呑みにしない。

鋭い患者医師のほうが、早く真相に気づくことがある。当事者だし必死だし。

自分感覚大事にしつつ、本気で情報取りに行かないと、流されたままでは、とんでもない目に合うかもしれない。

医療ってそんなに万全のものではないし、医療機関による格差医師の優劣も大きい。当たり前といえば当たり前のことだけれど。

大原まり子アクアプラネット」より


別に誰がどういう思想を持っていてもいいし、好きな作品を書いた作家のすべてを好きになる必要もないのだけれど、リアルな筆致でワクチンが間に合わない不幸を描いた作家が反ワクチンというのはなにかちょっとつらいものがあったので吐き出したくなった。

 
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