2021-03-24

雑誌映画秘宝』の記憶(25)

町山智浩に「庵野秀明シンパシーを感じる」と表明する資格は有るのか?】

 最近町山智浩は、テレビ放送された庵野秀明氏の長期密着ドキュメンタリー番組を観て、庵野氏と自分を重ねてシンパシーを感じているようです。

 正気でしょうか?

 『シン・エヴァンゲリオン』の公開に伴う報道に拠れば『旧・劇場版エヴァ』の内容に不満を持った当時の熱狂的なファンたちが、庵野秀明の死を願うような内容の発言ネット上で盛んに行い、それらを見た庵野氏は大きな精神的なダメージを負ったとのことです。

 さて、町山智浩は『シン・エヴァフィーバーに便乗して「オレは庵野秀明の苦しみを理解できる!」と言わんばかりに、庵野氏に対するシンパシーを盛んにTwitterアピールしていますが、どれだけの人が真に受けるでしょうか?

 町山智浩も大きく関わっていた『映画秘宝』は、年に一回、編集者/ライター/著名人/読者からアンケートを集計して映画役者等の「年間ベスト/ワーストテン」を発表していることで有名です。

 それに伴う同誌の目玉企画の一つが「死んで欲しい奴ベストテン」でした。これは、駄作を世に送り出した監督脚本家勘違い役者、演技経験も無いのに起用されたアイドルモデル配給会社/広告代理店などのお偉いさん、気に食わない政治家日常生活でムカついた相手など、様々な人間に対する怒りや憎悪ライター/編集者/読者がぶつけると云う、少しどころか「かなり悪趣味企画」でした。

 『実写版デビルマン』が公開された当時、あまりにもひどい出来ばえの為に、この「死んで欲しい奴ベストテン」において同作の監督那須博之氏が大きく票を集めたことは、古株の『映画秘宝』読者ならばよく知っている事実です。

 この企画からしばらくして、那須博之氏は病魔により亡くなりました。

 そして、この「那須監督逝去」のニュースに対して町山智浩が、柳下毅一郎との対談において「『死んで欲しい奴ベストテン』で投票した皆の願いが通じたな!」と浮かれてはしゃいでいたことも、古株の『映画秘宝』読者ならばよく知っている事実です。

 思えば、作品の出来ばえに不満を抱いた観客がクリエイターたちに対して、人間としての一線を越えた激しい憎悪をぶつけると云う悪しき世間の風潮を作り出した責任の一端は、町山智浩らが主導権を握っていた『映画秘宝』にも有るのではないでしょうか?

 そのことに目を瞑ったまま、庵野秀明氏にシンパシーを感じると云う「自己憐憫」に浸る資格が、果たして町山智浩に有るのでしょうか?

 なお、町山智浩脚本家として関わった『実写版進撃の巨人』が低評価を受けた際、忖度した『映画秘宝』界隈から批判は「過去に同誌の『死んで欲しい奴ベストテン』で俎上に上げられた他の人間たちに比べれば、信じられないほど、遥かに小規模なものであった」ことも、併せて記憶しておきたいところです。ここでも『映画秘宝関係者の「『敵』には厳しいが『仲間』には甘い」と云う行動パターンは発揮されていた訳です。

 もう一度言いますが、果たして町山智浩には自己憐憫に浸る資格が有るのでしょうか?

 この投稿は以上です。アーメン

【2021/03/26誤字・脱字等を訂正しました。】

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