Aさんが自分が楽をしたいが為に色々サボっていることが、オーナーにじわじわとバレつつあるんだが、当店唯一安定して夜勤をこなせる人材のAさんに辞められたら困るということで、オーナーはAさんには強く言えないらしい。
最近、早朝勤務でまだ今年の初夏に入ったばかりの人が、自分の体力と年齢をガン無視して無茶苦茶にシフトを詰めまくった挙げ句にミスにミスを重ねて、遂にオーナーがブチ切れ、色々角が立つ、という事案が発生した。それをDさんが持ち前のコミュ力で華麗に解決してみせたのだが、オーナーはそれで言いづらい事はDさんに任せておけばいいと学習した模様。
そしてDさんから私に、夜勤のサボりが酷い部分を改善するように言伝が回って来た。そんな大したことではないのだが、その仕事がなされていないと、売上にもだいぶ響くし、早朝勤の人達が多忙になりすぎてしまう、という案件2つ。私は気安く請け負ったが、Aさんはそのうちの一つに大反対した。
Aさんが絶対やって欲しくないと言い張る仕事はどういう仕事かというと、夕方の商品廃棄の直後に、昼に納品されたが余ってしまいバックヤードに保管されていたおにぎりや惣菜パンを棚に補充する、というだけの仕事。これをすればどうなるかというと、商品棚が夜も充実するので、お客様が沢山来るようになるし売り上げが増えるし廃棄が減る。補充した商品は翌朝には廃棄されてしまうので、夜と早朝のうちに売り切るべきものなのだ。
Aさんの思惑はというと、夜に客が来なくなり、私など夕勤の人がいる時間に雑用を全部やりきって、夜中は暇な時間を事務所でのんびりゲームでもして納品を待つだけにしたい、ということなのだ。そして実際ここ三年ばかりは、夜勤の人達は結託してそのようにやって来た模様。
そんな事はオーナーがもっと前に気付くべきなのでは? と私は思うのだが、オーナーは、気づかなかったんだなぁー。なんか、今年の夏辺りに本部がコンサルによる経営診断会みたいなものを開いて、オーナーがそれに参加したらしいのだが、その時に廃棄ロスが馬鹿多いのと、FF商品の売り上げの違算が月マイナス百万円にものぼることが発覚したそうで、オーナーは遂に重い腰を上げたのだ。重い腰を上げたのはいいけど、従業員達になんと言ったらいいのかわからないっぽいが……。
廃棄問題は確実にAさんら夜勤組の仕業だけれども、FF商品の件は断じてAさんの仕業ではないとAさんは言っているし、Aさんの悪行ポリシーはガチで法に触れることはしないということなのは、私もよくわかっている。ところがオーナーはその件でもAさんを疑っていると仄めかしたらしく、Aさんはぷんぷん怒っている。
FF商品の件は私が思うに、きっと誰か廃棄ルールをちゃんと覚えていない人がいるのだと思う。FF商品を誤って床に落としてダメにしてしまった時などに、廃棄票に「唐揚げ1個」などと書き込むことを知らないまま仕事をしている人がいる可能性だ。それと、お客様に「フランクフルト一つ」などと頼まれた時にレジに注文を打ち込むのを忘れて商品を出して来てしまうというパターンで、こういうのは癖になってしまうので、特定の誰かが何度も同じミスをしている可能性が高い。
そのミスだけで積もり積もって月に百万円ものロスをしているとなると凄すぎるような気もするけど……。誰か泥棒を働いている従業員のいる可能性もあったりするのか? 当店、意外とそんな暇はない感じなんだけど。
バイトしていて思うのだけど、当店はオーナーがわりと甘いというか、他の経営者よりもかなりまともな一面もあって、従業員がしたミスに対して余程のことでなければ弁償を求めない。これはコンビニだともしかすると珍しいことなのかもしれない。そういう点では私は安心して勤められるし、安心して勤められると逆にミスしなくなるんだなぁ、と前の職場と比較して思う。
ところが! それでも結構皆、自分のやらかした失敗を隠しがちなのだ。たとえばプリンやパフェを一個落っことしてぐちゃぐちゃにしてしまった時、それはオーナーに報告して謝罪をし現物を残しておけば、弁償をさせられたりはしない。だが、多くの従業員達はそれをウォークイン冷蔵庫の見えない場所に隠して帰りに持ち出して買って帰る、ということをよくしている。
たぶんそれが更なるミスや不正を生んでしまっているのではないかと思う。弁償しようとした商品の事を忘れて帰ってしまう(見つからないように隠したせいで発見が遅れる)とか、弁償しようと思って隠していた商品の代金を払うのを忘れて持って帰ってしまうとか、そういう。
そんな事が起こりうるけれども、皆ミスは隠したがる。分かりやすい失敗をして、レジとか目立つ所でオーナーにどやされるのが嫌でそうする。人前で怒られるのは惨めだし、怒られて弱った人に優しい声をかける人ばかりではないし、むしろ弱った人のことは盛大に叩いてもいいと思ってる意地悪な人は従業員にも客にもいる。だから皆、自分をノーミスの人にしておきたいのだろう。