どうやら最近MAD文化というものがなくなったのだと考えている人が多い。
MAD文化がなくなったということは、もうMADの作り手がほとんどいなくなってしまったということが考えられるがそれは大きな誤解である。
ニコニコで「音MAD」をタグ検索すると、5年前の2015年から2019年まで投稿件数は減っていないどころか大幅な増加をしているのだ。
2020年はすでに9545件もの音MADが投稿されており、すでに2019年の投稿件数を超えそうなペースで増加している。
少なくとも作り手がほとんどいなくなってしまったということはない。しかしMADがたまに伸びたり、Twitterでバズると「こういう動画減ったな〜」というコメントが必ずつく。これは一般視聴者がMADを見なくなってしまったということである。
私はMADを見なくなってしまったという人が多いのは皆が知ってる共通認識のネタが減ったのが原因であると考えている。
一昔前はオタクならほぼ全員が知っているコンテンツが見られていた(咲、禁書、らき☆すたのようなアニメやゲームなら艦これ等)
しかし昨今はオタクの趣味がソシャゲ、Vtuber等に細分化され、かつては多くのMADが作られていたアニメ自体視聴者は日常系、なろう等の多ジャンルに分散化された。
Vtuberも四天王が出てきた2018年頃にはネット全体がVtuberというジャンルに注目しており、そのころは多くのダンスロボットダンス等のMADが作られていたが、その後にVtuberの主流が配信者となり、VtuberのMADの視聴者層がほぼそのVtuberのファンのみとなったため再生数自体は減った。
しかし今でもMAD、特に音MADは良作が作られ続けているのは事実である。昨年11月に平成に投稿された全音MADから各人10個選び順位づけ、それらを集計したうえでランキングにしたイベントが行われた。このランキングには大体の人がMAD全盛期をイメージしている2009,2010年頃だけではなく、最近の動画特に2018年の動画が多くランキング入りしている。
https://www.youtube.com/watch?v=0fbikIWDKIU
長いと感じる人は10位からの動画(59:48~)がフルで見れるのでそこから見てほしい。
https://www.nicovideo.jp/mylist/67036747
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1q0oKdIh5AV8-2biDY8KYd_5uEB0-Im8EXShlf-z0I0Q/
話は変わり、ニコニコにおいては動画を発掘する手段としてタグ検索とランキングに上がっている動画を見るというのが主流であるが、タグ検索はその素材がよっぽど好きな人しかやらず、ニコニコのランキングページはそもそも見る人が減りつつある。
今でも良いMADが作られていると言われても、これでは探しようがないと言う人におすすめするものがある。それは、毎年行われている「音MAD10選」である。
こちらのホームページで毎年投票式によりその年ごとの良かった音MADを選び集計結果が発表されている。
http://oto10.s602.xrea.com/10sen/
1年おきではなく最新の動画群の中から良作を見つけ出したいという方は音MADの作り手の中に最新の動画をマイリストに入れてニコレポに放流している人もいるのでそれをチェックしてみるのもよいだろう。
かつては創作の場において2ch(現5ch)が主流で多数の面白い人が集まりコピペ、FLASH、AA等多くのネット発文化が生まれた。その後に人の集まる場所はTwitterに移ったが、最近異なる思想の人が一つに集まりすぎることの弊害からか、強い口調で煽り合ったり他人の意見を否定することが増えつつある。動画投稿で生計を立てるという新しい職業を生み出したYoutubeも、最近の急上昇は芸能人が席巻し、新規に素人が出る幕がなくなってきた。しかし、ニコニコにおけるMADの作り手は当然のことではあるが一切の見返りにもならずとも動画を作り続け、技術の向上を目的にしたり、純粋に面白い動画を投稿したりし続けている。その姿はニコニコ、いや大きな資本が投入され続ける前の楽しかったころのインターネット文化を継承している最後の砦といえるのかもしれない。
しりり「いい天気」 ↑至高にして究極
約10年前に結膜炎になるほどニコ動を見まくっていたおじさんなので、MAD動画の衰亡を憂う気持ちわかる。 そして、最近の音MADをフォローできる情報に触れられてすごくうれしい。あり...