2017-09-28

桜Trickが終わった、僕の悩みは終わらない

きっかけは、大学進学だった。

通学時間が二時間ちょい、一つ県を跨ぐほど遠かったため、電車の中ですることを探していた。

スマホがまだない時代で、ネットオタクとしてはあの今でいうガラケーのちまちましたのでネットを見ることが耐えれず、本を読んでいた。

そんなときに、ふと大学の近くの本屋さんで雑誌立ち読みした。

それが、まんがタイムきららキャラットひだまりスケッチゆのっち屋上でひとりごちる回だ。

まり四コマ漫画に思うところはなかったのだけれど、

「これは、僕の知っている四コマ漫画とは違う、なにかだ」と思い、その場で雑誌を買い、

気づくと、きらら三誌、本誌、MAXキャラットを購読し、単行本も後ろのKRの通し番号を100までは全て買っていたし、

今は亡きKR文庫は全て購入したし、ドラマCDも買っていた。

もちろん、そうやって数をこなすことで、きらら特別変異的に生まれたわけではなく、

ももせたまみとか、あずまきよひことか、胡桃ちのとか、書ききれないぐらいの数多の四コマ漫画の先にきららがあることも理解して、

ぱれっとやら、ぱれっとLITEやらの創刊にも付き合い、

そんな、自分の中の4コマ熱が最も高かったときに、

まんがタイムきららミラクが創刊され、

そこに掲載された桜Trickの一話に、また人生観を揺るがされた。

「他の娘たちとは絶対しないことをしようよ」から始まった、そんな物語が、単行本も込みでついに完結した。

結局、働き出してから、強く感じている

「お前は男だ」という圧力

いやもう、そんなこと言ってたら、来週には三十歳になるんだから

そろそろいい加減、そらそうだよって話なのかもだけど、

未だに自分男性であることへのしっくりこなささに、もやもやが募る。

こう、話が通じれるように書けないんだけど、

「僕」がただ一人無人島にいるなら、きっとそれは感じないんだよね。

「僕」と「僕を知らない人たち」といても、それは感じない。

「僕」と「僕を知っている人たち」との間にあり、かつそれが

他人より」ではなく「自分より」の方向に、ぼんやりとある

「お前は男だ」という圧力

これなんだと思う。

0、1、ではっきり線を引けるわけじゃなくて、

かい合っている僕と他人の、僕から見ると45メートル他人から見ると55メートルぐらいの、位置にあって

どちらが発祥とは言いづらい「お前は男だ」という気持ち

これから、逃れたい、

しかすると、それだけの気持ち百合作品を読み続けているのかもしれなくて、

そんな、自分勝手気持ちに、こんなにも面白い漫画を押し込めてしまう、

自分のちっぽけな肉欲と倫理観が情けなくて、情けなくて、

どうして、いつも、自分がこうなってしまうのか、わからなくて、

難しいね


桜Trickは明確に終わった。

廃校までの三年間というテーマを見事に描き切って、登場人物たちの気持ちも、それなりにけりがついている。

それでも、まだ読者の僕の気持ちは終わっていない。

自分のことを好きになりそうにない、自分が作中にいてもきっと歯牙にもかけられない、そんな存在になりたくて、

女の子同士の恋愛を扱う作品ばかりを読んで、

女の子の柔らかい部分が好きなアイドル応援して、

この誰かから感じる「お前は男だ」という気持ちへの不快感を和らげている。

もし仮に、このキャラクタたちが僕の目の前にいたら、そんな圧力をかけないような気がして。

でも、きっと、そんなわけはなくて、

なぜなら結局、この気持ちは、他人が発しているものでは決してなく、

自分が産んで、自分が苦しんでいる、ただの自家中毒にすぎなくて、

ずっとこの自分の毒に自分で苦しみ続けるのかもしれない。




http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/56806_56907.html

 私の肉慾も、あの海の暗いうねりにまかれたい。あの波にうたれて、くぐりたいと思った。私は海をだきしめて、私の肉慾がみたされてくればよいと思った。私は肉慾の小ささが悲しかった。

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