2016-05-04

神経内科医が語る総合診療

医者さん以外には関係ない話かもしれませんが、今後専門医制度というのが大きくかわるということでお医者さん近辺は大変揉めています

端的にいうと今まである程度自由更新されていた、整形、とか皮膚、とか泌尿器といった専門医更新する際に勤務実績を付け加える、学会出席だけではなくレポートを課すなどして

更新を困難にして、(専門医を維持するのであれば)ある程度制度に基づいた臨床をやっていかないといけなくするということでしょうか。

内科については結構抜本的に話がすすんでおりまして、今まで内科認定医⇒各科(消化器、血液、呼吸器、循環器)専門医で事足りていたもの

今後はまず総合内科専門医なるもの進化してから各科専門医にすすむという形になるということで大変煩雑になります

 煩雑であっても、患者さんの利益になるのであれば一向に構わないと思うのですが、ここに内科専門医ではなく総合内科専門医という名前にしたところに

どこやかのえらい人の方図がすけているような気がしてならないのです。

 というのも、現状、日本国見回してみれば医療格差は確実に進行しています。某地域では当番病院を作って、あるいはその他の地域ではマンパワーがあって、ACS疑い、脳卒中疑いの患者搬送連絡などあろうものなら

あっという間にチームが参集して血管内治療含めてできるだけの方策施行するでしょう。ただしそんなことできるのは(国土面積でいったら)十数パーセントにも満たない地域しかありません。

厳然として、住んでる住所、病院との距離、そこの病院医者がその日たまたま月に一度の休日だったなんでことで受ける医療の質は極めて大きなブレがあり、僕はこの状況については

国民基本的人権を侵しているとしかいえないのではないかと考えています

 一方で国民の八割以上が都市圏で行えるような「スタンダード」な医療提供できるようなシステムを構築するなんて医療従事者の確保からしてむりだし無い袖もふれないし予算なんてどうしてもつきません。人口1万人の町で年に四回起こる心筋梗塞と年に二回おこるtPA適応のために、365日体制スタンバイさせるわけには行かないというのはお分かりいただけると思います

そういった「居所」による人権侵害現実存在する中で、それを声高に訴えられる前に、偉い人はわれわれ内科医をすべて内科専門医ではなく「総合内科専門医にしようとし、また基本領域に総合診療科をつくり

そちらに若い医師誘導するようきわめて複雑な新内専門医制度押し付けようとしているのでしょう。

もしあなたの街に総合内科専門医先生(専門は神経だけどね)みたいな人が赴任したらとりあえずあの人に相談したらいわゆるテレビでやっているような茫漠としたイメージ最先端医療につなげてもらえるというイメージをおもちではないですか?はっきりいって大きな間違い。です。

やっぱり初療で各科専門医が見た方が明らかに予後は良好と思います総合診療科がなんとかみていくということと、各科待機のそろった病院の行う医療を比べれば雲泥の差です。

総合」にはこんな意味がこめられているのでしょう。何かこの田舎病気しても「総合」なあの人はなんとかしてくれるにちがいない。それ総合なんだと。残念ながらそんなことは期待できないと思います

そうやって本来意味での適切な医療が受けられずに亡くなっていく田舎在住の人たち。彼らの適切な医療を受ける権利を守ることは、現状の保険診療では無理だと思うし

気づかれる前に制度を変えてうやむやに何でも見れますなんて無責任なことを広めてなんとかしようなんてのがえらい人の考えなら、そのとばっちりを食らう現場内科医もっと反発してもいいのではと思います

私は、看板として総合診療をかかげて治療することに大いに疑問をもっています基本的内科の力量を持った各臓器専門医病態社会的背景、かかりつけ具合などをみて、他分野専門医相談してそのつど適切な医療提供すればいいと思うのだが。それより、せっかくスペシャリティーを確立して生きていこうと思っているしょっぱなに、総合内科総合診療と称して地域医療格差押し付けられる役割をはたすのはごめんだ。

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