優しくて、賢くって。とても綺麗で。
「優しく接するのも患者をケアする仕事の一つ。私に幻想を抱かれても困る。」
汚物をみるような目で、心底哀れむような目で、僕はそういわれた。
ぼきん、と僕の中で何かが折れる音がした。
そうか。幻想は求めてはいけないんだ。愛情なんて求めてはいけないんだ。
僕は少ない入院生活の残りを全て勉強に費やし、退院後はコンサルファームに入った。
そうか。やっぱり看護師のいった通りだった。とても簡単なことだったんだ。
会社で叩き込まれた問題解決思考、仮説思考をもとに適当に女を探した。
なるべく効率を上げるためには、弱い女が良かった。
親から愛されなかったキャバ嬢や、夫から愛されていない人妻や、愛とかとくに考えていない頭が弱い女子大生。
みんな、簡単に僕と寝て、僕を愛した。
僕は出会いからセックスまでのPDCAサイクルを高速で回した。
僕は人間の弱い部分を知っていた。
自分がとても弱い人間だったから、どこをどう揺さぶれば心が揺れるのか熟知していた。
少し揺さぶり、よろけてこけそうになったところを、そっと優しく支えてあげればそれでよかった。
僕があのときや、あのときに、そうして貰いたかったことを再現すれば良いだけだった。
どんどん弱い人間と効率的に寝て、学習した。そのうち、大抵の女は落とせるようになった。
行かないでください。嫌いにならないでください。私を愛してください。
僕は首を横にふって立ち去った。
けれど、じきになれた。だってさ。僕に幻想を抱かれても困るだろう?
強い人間には運もよってくる。仕事も順調にいきとある上場企業の社外取締役になった。
僕にピンサロをすすめた女だ。
色々話をしていたが、結局のところ、たくさんの男と付き合い、女を磨き、理想の男を手に入れたと言う成功譚だった。
そうか。と、僕は思った。理想の男なのか。
僕は自分の女の中から、できるだけ美しいキャバ嬢を選び、看護師の婚約者を誘惑させた。
キャバ嬢は最初は嫌がったが、僕に捨てられたくないがため、しぶしぶ看護師の婚約者を誘惑した。
婚約者はすぐにキャバ嬢と寝た。僕はそのときに写真を撮らせて、それを看護師のFBタイムラインに流した。
なんだ。看護師の試行錯誤と努力で手に入った関係は、そんなものだったのか。
看護師は僕を愛し、僕と寝た。
そのとき僕には大局観があった。
貯金が増えてよかったと僕は思った。
徐々に要求額を増やしていって80万を超えたときに看護師がお金をくれなくなった。
看護師とのセックスにも飽きてきたので、僕は看護師とさようならをすることにした。
行かないで下さい、嫌いにならないで下さい、愛して下さい、セックスして下さい、借金があるんです。
どうか、どうか。
うーん、そうなのか。
僕は言った。
お金がない?簡単なことだよね。
「ピンサロへ行け」
増田で恋愛系エントリーするやつは例外なくキモオタ。
ナイチンゲール症候群をこじらせた男の末路
http://anond.hatelabo.jp/20150505153037 ↑ こういう粘着質の男は経験上タチが悪い