このところあまりに頻繁に見かけるので雑感。
結論から先に言うと
「生モノは本人が許可していない限りは目に付く場所でやって叩かれても甘んじて受けろ」
「半生は作品のキャラクターとしての取扱いである限りは通常の二次創作と代わりはない」
「いずれにせよ性的表現が存在しているのならゾーニングは必要だろう。これはルールというよりは礼儀や行儀の話」
である。
これをごちゃまぜにして話をするとややこしくなる。
1 いわゆる二次創作をすること、発表する事は、著作権者あるいは権利者が禁じていない限り自由である
2 いわゆる同人誌即売会で有償で二次創作作品を頒布することと二次創作を行うことは当然だがイコールではない
3 生モノと呼ばれる「ジャンル」が人目に晒されるのを恐れるのはモデルとなる人物及びモデルとなる人物を知る人々にとって不快感を与える恐れがあるからだ。これもルールというよりは礼儀や行儀や思いやりという話
さて、まず1だ。
たとえばあなたが読み、あるいは見たなんらかの作品について、「もしこれがこうだったら」「もしこの登場人物がこうだったら」と考える事は自由だ。
同時に、それを書き記し、公表する事も自由だ。
だが、明確に「原作」が存在し、その原作なくしてはありえない内容である限り、「原作」の権利を侵害する事はもちろん許されない。現状、明確に禁じられている場合を除き、概ね世界的な傾向として、これらは「ファン活動」として黙認されている。
黙認されている限り、節度を守ってどこでどのように「ぼくのかんがえたさいきょうの○○」を語ろうと自由である。それは自分のサイト、タンブラー、ピクシブ、ツイッターなどのあらゆるツールを含めて自由だ。
これは誰はばかることなくやればいい、自由に。
例外は、ここに年齢制限要素があるかどうかである。年齢制限要素は、それがオリジナルであろうと妄想であろうと二次創作であろうといずれにせよゾーニングされるべきだろう。これは「二次創作」であるか否かとは別問題として存在する。
では性的表現、いわゆる同性カップリングについてと言われれば、現状ではこれもまたルールというよりは礼儀/行儀の話。端的に言えば上品であるか下品であるか程度の問題ではある。
では2になるとどうか。
現状、日本国内を見回す限り、いわゆる同人誌即売会において有償頒布をする事は、「黙認」されている。
これは「ファン活動」の範疇に収まっている限りの話であり、どこから範疇を超えるかは権利者による。
「黙認」されている以上、「許可」ではないので堂々とおおっぴらにする事はともかく、こっそり楽しむ分には一応文句は出ない、ことになっている。
よって「こっそり楽しみましょう」という大前提の下に、これらは全て動いている。
ところが、これが海外になると、「頒布」であろうが「販売」であろうが、金銭を得た時点で権利は侵害されたとみなす権利者のほうが圧倒的に多い。
無償で楽しんでいる分には日本以上に野放図であり自由であり文句を言わない権利者が、金銭が絡めば即座に侵害とみなすのは、原則的に「ルール」で動く西洋的な価値観の中では当然ではある。
ではそれらは有償頒布出来ないのか、というと、それこそ程度問題だろう。
儲けが出るほど大々的にやるのは完全にルール違反だし、わずかな同志間で楽しむ分にはかろうじてお目こぼしはしていただける可能性が高い「ので」こっそりやる、という話になる。
グッズのように「原作の原型を留めていなければ求められるはずもないもの」を作ろうとするなら、これは権利侵害以外の何者でもない。ただ、極度に手を加えられ、作り手の能力によってしかなしえない表現をされている、となると若干はなしはかわるかもしれないが、「原作」から逸脱しない以上はやはりこれもアウトなので「こっそり」やるか許可を求めるべきではある。
日本での「同人誌即売会文化」とでも呼ぶべき市場については、これは「印刷その他、掛かった金銭の分だけを負担していただいている=頒布である」という理屈で成立しており、原則的には「儲けは出ない」建前になっている。
これが建前で実際がどうかという話はここでは置いておくが、それでもこの「建前」は海外の権利者には通用しない。従って、「自分は悪い事はしていないが、見つかると禁じられて楽しい遊び場が崩壊するから隠れる」というのは当然の流れだろう。ワールドワイドに「宣伝する」などもってのほか、という事になる。(つまり少なくとも検索にひっかかるような場所でおおっぴらに語ったり披露したりすべきではない、ということになる)
3と、それに付随する半生については、これこそ「礼儀」の話でしかない。問題は一つずつ切り離して整理し、考えるべきことだろう。ただし、個人的には半生については個別の「作品に登場するキャラクター」を使っているという時点で特に「中の人」に対する遠慮が必要だとは考えない。何故なら彼らは「その作品の中ではその世界に実在する」からだ。
もしそれを「申し訳ない」と言い出すならそもそも二次元のキャラクターであっても「その世界に実在する」んだから申し訳ないという話になる。
以上、書き連ねたが、「ルール」と声高に喚き散らす状況には違和感しか覚えない。
原作ありきの二次創作に存在しているのは、許可されていない限り全て「こっそりやるべきもの」には違いないのだ。
その上で、そもそも創作自体は自由だ。
ここには自由しかなく、誰もルールなど作らない。ただ、個々人が自分の倫理観に従って存在するだけである。
いわゆる学級会の「隠れろ!」という「命令」は、それに従う従わないではなく、個々人が自分で判断して自分で何をするか決めれば良いだけだ。
もし、自分で考えられず決められないというのなら、その時にこそ、いうべきだろう。