2024-08-09

予定のない盆休みの憂鬱

蝉時雨アスファルトの熱気をさらに増幅させる。ジリジリと焼ける陽光は、容赦なく俺のくたびれたアパートにも侵入してくる。窓を開ければ騒音と熱風、閉めれば息苦しいほどの密閉感。どちらを選んでも、孤独けが濃縮されていくようだ。

夏期休業。世間は浮足立っている。家族連れの声、若者たちの嬌声、テレビから流れるバカンスCM。それらはすべて、俺には無縁の世界。俺にはただ、静寂と、汗ばんだ肌に張り付くTシャツと、底をつきそうな財布だけがある。

冷蔵庫には、賞味期限切れ間近のヨーグルトと、しなしなになったキュウリテレビをつければ、眩しい笑顔と楽しそうな会話。それを眺めていると、俺の胸は鉛のように重くなる。

孤独は静かな猛獣だ。普段大人しくしているが、この灼けるような季節になると、牙をむき出しにして襲いかかってくる。誰もいない部屋で、ただただ時間が過ぎていく。時計の秒針だけが残酷なまでに規則正しく時を刻む。

ああ、このまま時間が止まってしまえばいいのに。何もせず、何も考えず、ただこの孤独から解放されたい。夏期休業。それは俺にとって、終わりの見えない苦行の始まりを告げる鐘の音なのだ

外では子供たちの歓声が響いている。彼らの未来は、きっと希望に満ち溢れているのだろう。俺にはもう、そんな未来想像することさえできない。ただただ、この暑さと孤独の中で、朽ち果てていくだけだ。

窓の外の蝉時雨が、俺の心をさらに掻き乱す。この暑さはいつまで続くのだろうか。この孤独は、いつになったら終わるのだろうか。答えのない問いだけが、俺の頭の中をぐるぐると回り続ける。夏期休業。それは俺にとって、孤独牢獄なのだ

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