2024-01-06

高校生の頃、クラスメイトアニメ好きな男子生徒からAIR』のアニメを薦められた

便宜上その男子生徒の名前横山とする。

横山からAIRをすすめられた俺は正直視聴する気はあまりなかったが「じゃあレンタルビデオ屋で今度探してみるかな」と言うと、その翌日にDVDを持ってきてくれた。

ここまでされると無碍にはできないので、家に持ち帰りすべて見た。

正直、登場人物の顔のパーツも福笑いのような歪さがあって気になるし、ヒロイン知的障害があるハイコンテクスト理解できたが、話はあまり理解できなかった。

観終わった俺は感想を求められたので「ヒロインの子、よく転ぶからさ、おそらく小脳あたりに重篤な病があることがわかって、知的障害があるのもそれが原因ってのが後々発覚すると予想してたんだけど、まさか先祖呪い死ぬと思わなくてビックリしたよ」とひねり出した。

彼は顔を真っ赤にして「ミスズ漢字わからん)は知的障害じゃねえ……!」と言い、俺からDVDを取り上げて席に戻っていった。俺は唖然としてしまった。

クラスメイト女の子達に「オタク君すげえ怒ってんじゃんきっしょ、増田何したの?」と聞かれた。「いや、別に……」と答えながら席に着いた横山君に目をやると、こっちをチラッと一瞥し、顔を真っ赤にしながらラノベ視線を落としていた。

俺は「悪いことをしてしまった」というよりも「ヒロイン知的障碍者扱いした事に怒りを感じているということは、あのヒロイン知的障碍者じゃなかった」という可能性に動揺してしまった。この作品が好きな彼が知的障害扱いに憤りを感じるのであれば、知的障害ではないんだろう。

その日の夜にメールで、「せっかくDVDまで貸してくれたのに、俺の理解力が低くて不快にさせて悪かった。悪気はなかった」と謝罪メールをいれた。横山から即効返事が返ってきた。

馬鹿にしたいだけなら謝らないでいいよ」

その後、横山と話すことは卒業までなかった。

この間、高校の頃の友人と久々に話したときに「お前横山の事教室でキレさせたって話聞いたけど、何したの?」と聞かれてこの話をした。

友人は「きめえアニメ突然おしつけてキレられてお前よく平気だったな。優しすぎるだろお前。俺だったらDVD持ってこられた時点で教室ボコってたぞ」と笑った。

13年の時を経て、横山アニメ理解できなかった俺を拒絶したのではなく。積み重なりに積み重なった土台によるものだったのだと、俺はようやく理解できた。

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