日曜日、夕方の時間が嫌いな人はたくさんいるだろう。明日からまた仕事、学校だとかまたお弁当作らなきゃとか。次の日のことを考えるとやな気持ちになるよね。
理由はざっくり言うと、父親の車に乗っている時間だったから。と言っても元父親になるけど。
親が離婚していたけれど、裁判だかなんだかの関係で父親とは定期的に会わされていた。
大きい声を出したり責め立てるような話し方をするから、わたしは父親があまり得意なタイプの人ではなかった。なんとなくの不満を抱えながらいつも渋々父親の車に乗り込んだ。
こんなことを父親に思うなんて、とかは特になかった。飲酒運転とか父方の家族とのトラブルがたまにあった人だから。
月に1回か2回。日曜の朝に迎えが来て、日中どこかに出かけて、ファミレスで昼ごはんを食べて、夕方家まで送られる。
いつも車内の会話はなかった。話すこともないから。それ以外でもほぼ話していないけど。虐待とかではないけど、でもここに書けないこともあったから、苦痛で仕方なかった。
ただ、子供ながら父親もわざわざこんな時間を設けて何が楽しいんだろうってずっと思っていた。今も同じ。
喋らない上に態度も悪い子供を連れて出かけて、何を話すでもなく適当に昼飯を食べ、時間になったら帰る。
本当に今でもなんでかわからないけど、そんな父親との外出はわたしが中1,2年生くらいまで続いた。
その後はわたしも学生生活で忙しくなって、もう会う暇もないということであっけなく終わったのだった。そして、最近までずっとこのことを忘れていた。もしかしたら嫌な記憶に蓋をしていたのかもしれない。
スーパーからの帰り道、なんとなしにいつもかける音楽ではなくカーラジオを流してみたのだ。
何か聞いたことのある声、ああ、これは。
気まずい時間を思い出す。無言の車内、重苦しい空気の中。無神経なラジオが響く空間を。
しばらくそのまま聞いてみた。
でも、途中でチャンネルを変えた。