物心ついた頃から母親のことをいつも不機嫌な人だと思ってた。今は普通に話せるけど、例えばテレビを見ながら母と話していると大抵嫌な気持ちになる。
まず会話はすべて否定と非難と嫌味から始まる。テレビに出ているタレントへの悪口、ニュースに出てくる犯罪者への非難、見飽きた芸人にまたこの人か!と気に食わないことを大きな声で主張してくる。話しながらだんだん大きくなる声にうんざりするのだ。
本人は無自覚だろうし、私も大人になるまでこれが人を嫌な気持ちにさせる喋り方だってことに気づかなかった。母にだって好きなものはあって友人もいる。あとは昔話とか、そういうものが話題になっている時は否定ばかりにならないで普通に話してくれる。多分、転勤族で、専業主婦で、習い事も辞めてしまった母は、何かの悪口を言うことでしか家族と共通の話題を作り出せないんだと思う。だから私も、悪口を言うことで人は仲良くなれるのだと思い込んでいた。それを職場で散々披露して、そのうち周りの大人との差に、自分って大人気ないな、恥ずかしいなと気づいてきた。
自分も変わりたいし、母にも変わってほしいと思っている。母がテレビに文句を言うと、やんわりそんなことないよって言ったり、無視したりする。私は言葉だけじゃなくて性格までひねてしまったけど、「でも」と「いや」から会話を始める癖は辞めなくてはと気をつけている。
でももう刷り込まれてる。ほら。何を見てもまず最初に否定的な意見がでてくる、テレビを見たら文句を言うものだと思ってる、気に食わないことがあるとすぐ口に出しそうになる。口角は下がっていつも仏頂面をしてしまう。私も母も、根本的なところにあるのは寂しさなんだと思う。親子なのに、無理してコミュニケーションをとっているのが苦しくなる。ああ素直で明るいあの子が羨ましい。もうなにかを悪く言うのを辞めたい。
多分増田見るのも辞めたほうがいいんだと思う。