ここ2・3日で、自分のちょっとした師匠的な人のブログを読み返していた。
その人はものすごい演奏家で。一方、愛煙はハイライト、晩酌を欠かしたことのないほどの日本酒好き(お気に入りは十四代)、ショートスリーパー。
そして大の病院嫌い。入院してもすぐに脱出してしまうというエピソードも聞いたことがあった。無敵な人だと思っていた。
2014年のある日、緊急入院した。診断は大腸がん。しかも後の話から、肝臓にも転移していたという。ステージとしては深刻を超えている。
最悪な部分は手術で摘出。だが、その後の治療方針について抗癌剤治療を拒否。免疫を高める方向で対抗しようとした。
これは抗癌剤治療でまともに演奏ができなくなった知人を見ていて、決意したものだという。
そこからはウォーキングを日課にして、タバコを絶ち、酒量もわずかなものに。
緊急入院以降、ときどき痛みに耐えるときもあったようだが、少しずつ日常を取り戻しつつあった。
とても強い人だと思った。
みるみる体が動かなくなっていき、あんなに好きだった楽器に触れる時間がどんどん奪われ、
何かがちょっと良くなればいいんだけどな、という言葉が最後の記載だった。
癌の本当の怖さを知った。まるでマンガのような強そうに見える人がいても、そんなふうに人間は存在できないことを知らしめられた。