私が大学生に入りたての頃、勧誘に乗って極右サークルに入ってしまった悲しい過去がある。
表面上は教師志望の学生が児童と交流するためのサークルを装っていたが、その実態は児童に極右思想を植え付けるという恐ろしいサークルであった。
サークルと繋がりのある児童クラブや養護施設(OBが関わっていることが多い)に訪れては、天皇の偉大さをひたすら説いていた。
「天皇のおかげで日本の平和は保たれている」「日本が世界から羨まれるのは天皇のおかげだ」といった天皇万能説を延々と説き、大東亜戦争はアジア解放の嚆矢となったのだから日本人は偉いなんていう始末だった。
もちろん彼らは今でも天皇を現人神、もしくはそれに近い存在だと考えていて、明治政府の権威付けのために天皇が担がれて、国家神道なるものができたなんてことは毛頭信じていない。
そもそも神道なんてものは、多神教的でシャーマニズムやアニミズム的なものを含んだ比較的おおらかな宗教であったはずだが、政治的理由で天皇のような一介の神主が絶対的権威を持つ一神教に改悪されてしまった。
それをさも昔から信じられていたかのように喧伝する奴輩には今でも腹が立つ。
サークルのOBの中には天皇機関説を激しく非難する奴もいて正直言って頭おかしいと思った。
当時の私があまりにも愚かだったために、やむなく2年ほどそのサークルにいたのだが、このサークルのせいで私の大学生活の6割は無駄になったと言っていいくらいひどいところだった。
どこの大学も規則上、政治的団体に関わりのあるサークルは創設してはならないのだがこのサークルだけは黙認されていたようだ。全くもって恐ろしい大学である。