何度か転職したり引越しもしたが新宿はいつでも自分の中で身近な場所だった
昨日、なんとなく入ってみた
職場ではクリスマスや年末の話で盛り上がってる人達が多く、外はずいぶん冷え込んでいて、新宿経由で帰る時にふとイマサに入ってみようと思った
なにか初めての事がしたかったんだと思う
それがたかが行ったことのないカレー屋に入るというささやかな事だとしてもそうしたいと思った
店は満員だったが客の回転も早かった
客はほとんど男だった
客の話し声はほとんどないのに店内は少し騒々しい音に満ちていた
カウンター内でおばちゃんと若い女性がテキパキと仕事をしている
これは食べにくいのでは?と一瞬思ったが意外にもとても食べやすかった
平たい事でカレーに新たな食感を感じるようだった
お皿は白くて縁にパステルカラーの赤、黄、緑で模様が描かれていてカラフルだった
カラフルなお皿とおばちゃんのかわいい声と男たちがカレーをパクパク食べている中に混ざって自分もカレーを食べているのが急に嬉しくなった
こんな風に一緒にカレーを食べられてすごく楽しいですね、と隣の人に言いたくなったほどだ
ヤバい奴になってしまうのでもちろんそれはしないけど、それくらい幸せな気持ちになった
カレーが残りわずかになると改めて「東京にずっと住んでいて、はじめてこの店に入ったんだな」と考えてしみじみした
東京に出てきて必死で仕事を覚えて何人かの人とお付き合いして別れ、なんやかんやで今はひとりぼっちでイマサでカレーを食べている
なぜ11イマサという名前なのか、イマサは人名だろうか、では11とはいったい…?このままググらずに謎のままでいようと思った
そしてそんな今悪くない、そんなに悪くないなと思ってる
東京なんてもうなんにも未練がないよと思っていたけど
さようならだと思うと急にとても切ない