今はもう辞めたけど、以前とある掲示板の共同管理人の1人をやっていた事がある。その掲示板の住人は、別の掲示板の圧政から流れてきた人達が集まって形成されていた。それに加えて、はてブと同じくらいリベラルな思想を持った人の割合が多い場所だった。
そういう経緯もあって管理人の役割を担う人たちは自分も含め、出来るだけ表現の自由を尊重するように心がけ、よっぽどあからさまな差別投稿や殺人予告や機械的なスパムでない限り出来るだけ削除もアク禁も行わない寛容な方針を取っていた。
それは決してただ傍観するという訳ではなく、強権を振るえないぶんグレーゾーンには強権ではなく対話による解決を要求され、右からも左からも荒らしからも良識あるユーザーからも袋叩きにされる非常にストレスフルなポジショニングだった。何人もの管理人が心労で掲示板を離れていった。
『ジョーカー』を観て思い出したんだけど、その頃「ジョーカーってただの荒らしじゃん」と思っていた。ここでいうジョーカーは『ジョーカー』のジョーカーではなくて、ダークナイトのジョーカー。
その掲示板によく出没していた荒らしは、パターンが決まっていた。削除されるかされないかのギリギリのラインで住人に迷惑をかけ、削除されると「職権濫用だ!削除の根拠を示せ!」と騒ぎ立て、管理人を精神的に追い込み、辞めさせる。それで何人もの管理人が去っていった。
その荒らしはまるで、バットマンに「俺を殺してみろ」と迫るジョーカーのようだった。「お前ら左翼だって一皮剥けば独裁者と同じじゃないか」と挑発しているようにも見えた。それを肯定するのが嫌で、自分も必死に暗黒面に墜ちないよう踏ん張っていた。そして自分は暗黒面に堕ちることもなく、苦悩する事もない、第三の選択肢を選んだ。力を手放すことだ。
掲示板荒らしにアーサーのようなツラい過去があったのかどうかは分からない。ジョーカーとダークナイトの続編的な繋がりも希薄だ。でもなんとなく、『ジョーカー』が掲示板荒らしの前日譚のように見えて、「うわぁ...」と思ってしまった。
その掲示板めっちゃ心当たりあるわ…いったい何速Rなんだ……。 redditみたいな掲示板ではマイナス評価が実装されているから、一般利用者が管理者の手を借りずに(ジョーカー的な)...