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私は今まで何回もすぐそこで止まっていた電車を見送り続けていた。
しかしある時、何を思ったのか、ふらっと乗車した。…大したことなかったらすぐに降りればいい、なんて軽い気持ちで。
だが一度乗ってみたらそれはもう最高の乗り心地で、降りるなんて考えられなかった。
それから1年も経たない内に、とても信じられないようなことが発表された。まさかこんなことがあるのかと、非常に驚いた。
きっと心のどこかで、あれは夢だったんじゃないか、彼らなりのジョークなんじゃないか、ジョークにしては笑えないが…なんて考えていたのだろう。
ある日。
同僚との他愛ない会話。
解散?
そう、休止。
…本当に?
彼らは、また同じメンバーで、今と同じところに戻ってくるのか?
ここまで来なかった不安が、悲しみが、心にどっと伸し掛かる。
また、ある日。
今更?
遅い?
好きなことを好きでいることに年齢制限なんてない。
彼らだから好きになったのだ。
彼らは歩みを止めない。
駆け抜けていく。
私は?
このままでいいのか?
今までのように、週に2回、冠番組を通して彼らを応援するだけ?
違う。
今からでも出来ることはあるはずだ。
思い立ったが吉日、CDやBlu-ray、公式写真も買い、ファンクラブにも入った。
これから発売される商品は全て予約購入し、イベントにも全て応募した。
それでもどこか、心に暗い部分があった。
解散。休止。今更。遅い。
そんな言葉が頭を廻る。
きっと、これからもずっと…
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