友人(仮に富山とする)がその富山の友人にストラップを作ってもらったらしく、自慢げに俺と友人3人(仮に山口、福井、岡山とする)に見せてきた。
そのストラップは鬼滅の刃の主人公が身につけている耳飾り(?)をモチーフにしたものだった。
俺は鬼滅の刃に関する知識が全くなかったので、それを見た瞬間に(旭日旗やん)と思った。
富山はたまに極端に右に振れた発言をすることがあったので、その背景も踏まえて俺は苦々しく思った。
山口と福井はそれを見ても何の違和感も抱かなかったらしく、無邪気に「うわーいいなー」「ほしいー」と反応していた。
メンバーの中で一番オタク文化に造詣が深い山口が「ほらこれ」と言ってスマホを出し、鬼滅の刃の主人公の耳飾りを指し示した。
場の反応からして、鬼滅の刃を知らなかったのは俺と岡山だけらしかった。
岡山はそれを見て、「たとえ鬼滅の刃だったとしてもこれは旭日旗に見えるし、持っていると思想の偏った怖い人みたいに思われかねないから、安易に外に出さない方がいいのではないか」と言った。
岡山はグループの中の年長者で、いつもそんな風に常識的な意見を述べて皆をたしなめる役回りだった。
それに反発したのは山口だった。「は? 鬼滅の刃の何が悪いん?」
俺はそれに乗り遅れたので、何か意見を言わなければならないような空気になってしまった。
「まあ、鬼滅の刃を知らん人もおるわけやし……」俺は歯切れ悪く言った。
「知らんのはその人の落ち度やん」「そもそも旭日旗の何が悪いん」山口と富山が口々に言った。
「旭日旗自体が悪いというわけでは無くて、それが使われてきた背景とか、今現在旭日旗を好んで身につけている人とその人に対する世間一般のイメージからして、無駄な軋轢を生むし、富山にとって百害あって一利無しなんじゃないかってこと」岡山はあくまで冷静なトーンを保って言った。
「岡山の言う『世間一般』がよくわからんけど」福井がそう前置きして言った。「『旭日旗! 旭日旗!』って騒いでんのはサヨクぐらいちゃう? 『世間一般』ではそんなんどうでもいいと思ってる」
それから岡山と富山・山口・福井は何となくお互いを避けるようになり、俺はそれに板挟みになった。
岡山とサシで食事した時に、彼は「旭日旗が和風なテイストを醸すために最適なアイコンになっているってだけなんだろうな。それをいい意味で無邪気に使えるオタク文化は素敵なものだと思う。変にバイアスがかかった俺みたいなのと富山たちが疎遠になったのはいいことだったのかもしれない」と言った。
俺は「5人でいた時の方が楽しかったっすけどね」と言った。
岡山は「お世辞でもそう言ってくれると嬉しいな」と言った。
コーヒーが苦かった。
山口富山福井が典型的な㋔㋟㋗ムーブでかわいい 典型的な三色チーズ牛丼顔なんやろなあ
山口富山福井が典型的な㋔㋟㋗ムーブでかわいい 典型的な三色チーズ牛丼顔なんやろなあ
山口富山福井が典型的な㋔㋟㋗ムーブでかわいい 典型的な三色チーズ牛丼顔なんやろなあ