妻は辛いものが苦手だった。
カレーは絶対に甘口だし、唐辛子が入ってる食べ物は出来るだけ避ける。
そんな妻が妊娠した。
つわりが酷く、スーパーの鮮魚コーナーには近寄れなくなり、ご飯の炊ける匂いが受け付けなくなった。
匂いがダメなものも多く、妻は食べるものも制限され、かなり辛い食生活を送っていた。
と言い出した。
シナモン?何故シナモン・・・とにかく分からないままコンビニへ向かうも、パンにかける用のシナモンの小瓶くらいしか見つからなかった。
シナモンの食べ物が無かったからシナモンとパンを買って帰り妻にあげたところ、パンの白い部分が見えなくなるまでシナモンをかけて食べていた。
何故そんなにシナモンをかけるんだろう。うまいんだろうか。不思議に思っていた。
その後、妻は甘いものにシナモンをぶっかけて食べるようになり、シナモンのパンやドーナッツをスーパーで見つけると必ず買って帰った。
俺もスーパーに行ったときはシナモンの食べ物を探すようになった。
そこでふと気づいた。
シナモンは洋菓子の香り付けに使われるだけではなく、古くはミイラの防腐剤としても使われていた最古の香辛料である。
香辛料を欲しているがゆえに、シナモンを欲してしまうのではという一つの推測へとたどり着いた。
香辛料がいっぱい入っている食べ物といえば何だろう。真っ先に思いついたのがカレーだった。
次の休みに、インド人が料理している本格的なカレー屋に連れて行き、カレーを二人で食べた。
食べ終わって、妻が、
「もっと辛くても良かったな」
と言ったので驚いた。辛いものは苦手だといっていたのに、急に辛さを求めだしたのだ。
また次の休みにカレー屋に連れて行き、今度は辛口のカレーを頼んだ。
食べ終わって、妻が、
「まだ辛くても良かったな」
と言った。すげえなお前。
次の休みにまたカレー屋に連れて行き、今度は激辛のカレーを頼んだ。
食べ終わって、妻が、
「まだもう少し辛くても大丈夫」
嘘やろ。
しかし激辛以上の辛さはその店には無く、あきらめるしかなかった。
少しだけ激辛カレーを分けてもらったが、俺は一口でギブだった。辛すぎる。
それからというもの、妻はカレーは必ず激辛を頼むようになり、嗜好が変化してしまった。
しかし甘いものもコーヒーも相変わらず食べるので、嗜好品に激辛が追加されたということなのだろうか。
カレー以外にも激辛麻婆豆腐や激辛スナック菓子も食べるようになった。
内容としてはあるあるなんだけど 全体として愛があるので好き
胎児に嗜好をコントロールされてるっぽい
https://retty.me/area/PRE13/LCAT9/CAT380/LMENU1667/ 【困ったらココ】東京でシナモンロールが楽しめる人気店20選