タオナケ「マスダの兄ちゃんって、ドッペルのことどう見えているの?」
マスダ(兄)「まあ、弟みたいな奴だな」
ミミセン「それはまたどうして」
マスダ(兄)「そんなこと言われても、ドッペルのやつ弟の真似ばっかりしているから、俺にとっては弟みたいな奴なんだ。弟みたいな奴は、弟みたいにしか見れねえよ」
マスダ(弟)「じゃあ実際の弟は?」
マスダ(兄)「弟は“弟”だろ。ドッペルは“弟みたい”」
ミミセン「同じように見えるけど?」
マスダ(兄)「“同じ”じゃない、“同じようなもの”だ」
タオナケ「ややこしい」
タオナケ「ドッペルが弟の真似ばかりするからといって、上っ面で判断するのはどうかと思うんだけど」
マスダ(兄)「俺は表面的なものが判断材料であること自体を悪いとは思わない。それ“だけ”で判断することがダメなんであって」
ミミセン「同じじゃないの?」
マスダ(兄)「人間ってのは様々な要素で構成されている。だから判断基準も多種多様だ。その中から1つしか考えないってのが馬鹿げているんだ」
マスダ(弟)「じゃあ性格が優しいだけで判断するのも、見た目だったり学歴や収入だけで判断するのも大差ないってわけかあ」
マスダ(兄)「その通り。要素そのものを責めているわけではなくて、短絡的なガイドラインをさも総意のように語るのがダメなわけだ」
タオナケ「そういう話じゃなくて、ドッペルのことが好きか嫌いかって個人的なことを聞いているの」
マスダ(兄)「“好き”と一口には言っても色々あるだろ」
ミミセン「色々って?」
シロクロ「ライク? ラブ?」
マスダ(兄)「もっと細分化して、友愛、親愛、恋愛エトセトラ」
マスダ(弟)「そういえば、そのあたりを詳しく考えたことないなあ」
マスダ(兄)「どれか1つとも限らないぞ。それらが独自の配合バランスに……」
タオナケ「これ以上、話をややこしくしないで!」
マスダ(兄)「怒り5割ってところか?」
マスダ(兄)「というか、お前たちはどういう意図でそんなことを聞くんだ」
マスダ(兄)「まさかお前ら、単なる興味本位で個人の気持ちを問いただしているのか?」
ミミセン「あー……そういうことになっちゃうのか」
マスダ(兄)「マジかお前ら。ドッペルはこのことを認めているのか?」
マスダ(弟)「……一応、俺は止めたんだけどね」
マスダ(兄)「お前ら本当に友達なのか」
マスダ(兄)「そもそも知ってどうする」
マスダ(兄)「本人の意志と無関係にやってるんじゃあ、その時点にすら立てていないだろ。それじゃあ俺が好きだと言ったとしても、嫌いだと言ったとしても、単なる暴露話にしかならない。誰も得しない」
タオナケ「けど損しない可能性があるなら、言っても構わない?」
マスダ(兄)「それ大した理屈じゃないよな。じゃあ俺が、お前らのことをどう思っているか言ってやろうか」
ミミセン「……なんだろう。すごく聞きたくない」
マスダ(兄)「少なくとも、お前らのその態度に関してだけ言えば嫌いだ」
現実 近所の公園広場にて マスダ(弟)「というわけで兄貴に聞いてもさっぱりだった」 ミミセン「マスダの兄ちゃんですら何となくで判断しているのなら、僕たちじゃ見当もつかな...
秘訣 マスダ宅にて マスダ(弟)「俺の仲間にドッペルっているじゃん。俺の格好をよく真似する奴」 マスダ(兄)「ああ、そいつがどうかしたか」 マスダ(弟)「仲間たちですら俺...
≪ 前 転換 マスダ(兄)「もう少し自分と相手の気持ち両方を整理させてから行動するんだな」 ………… ミミセン「やっぱりドッペル本人に聞くのが手っ取り早そうだ」 マスダ(弟...
≪ 前 小児 マスダ(弟)「ドッペルはほっといて欲しいんだよ」 ミミセン「どうしてそんな現状から逃避することを?」 マスダ(弟)「逃避じゃなくて、“維持”なんじゃないかな...