2017-11-23

[] #42-3「ドッペルさんはマトモに見れない」

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詰問

タオナケ「マスダの兄ちゃんって、ドッペルのことどう見えているの?」

マスダ(兄)「まあ、弟みたいな奴だな」

ミミセン「それはまたどうして」

マスダ(兄)「そんなこと言われても、ドッペルのやつ弟の真似ばっかりしているから、俺にとっては弟みたいな奴なんだ。弟みたいな奴は、弟みたいにしか見れねえよ」

マスダ(弟)「じゃあ実際の弟は?」

マスダ(兄)「弟は“弟”だろ。ドッペルは“弟みたい”」

ミミセン「同じように見えるけど?」

マスダ(兄)「“同じ”じゃない、“同じようなもの”だ」

タオナケ「ややこしい」

要素

タオナケ「ドッペルが弟の真似ばかりするからといって、上っ面で判断するのはどうかと思うんだけど」

マスダ(兄)「俺は表面的なもの判断材料であること自体を悪いとは思わない。それ“だけ”で判断することがダメなんであって」

ミミセン「同じじゃないの?」

マスダ(兄)「人間ってのは様々な要素で構成されている。だから判断基準も多種多様だ。その中から1つしか考えないってのが馬鹿げているんだ」

マスダ(弟)「じゃあ性格が優しいだけで判断するのも、見た目だったり学歴収入だけで判断するのも大差ないってわけかあ」

マスダ(兄)「その通り。要素そのものを責めているわけではなくて、短絡的なガイドラインをさも総意のように語るのがダメなわけだ」

タオナケ「理屈は分かるんだけど、なぜか納得しにくいわ」

ライク・ライク?

タオナケ「そういう話じゃなくて、ドッペルのことが好きか嫌いかって個人的なことを聞いているの」

マスダ(兄)「“好き”と一口には言っても色々あるだろ」

ミミセン「色々って?」

シロクロ「ライク? ラブ?」

マスダ(兄)「もっと分化して、友愛、親愛、恋愛エトセトラ

マスダ(弟)「そういえば、そのあたりを詳しく考えたことないなあ」

マスダ(兄)「どれか1つとも限らないぞ。それらが独自の配合バランスに……」

タオナケ「これ以上、話をややこしくしないで!」

マスダ(兄)「怒り5割ってところか?」

意図

マスダ(兄)「というか、お前たちはどういう意図でそんなことを聞くんだ」

タオナケ「……意図?」

マスダ(兄)「まさかお前ら、単なる興味本位個人気持ちを問いただしているのか?」

ミミセン「あー……そういうことになっちゃうのか」

マスダ(兄)「マジかお前ら。ドッペルはこのことを認めているのか?」

マスダ(弟)「……一応、俺は止めたんだけどね」

マスダ(兄)「お前ら本当に友達なのか」

秘匿

マスダ(兄)「そもそも知ってどうする」

タオナケ「うーん……告白とか?」

マスダ(兄)「本人の意志無関係にやってるんじゃあ、その時点にすら立てていないだろ。それじゃあ俺が好きだと言ったとしても、嫌いだと言ったとしても、単なる暴露話しかならない。誰も得しない」

タオナケ「けど損しない可能性があるなら、言っても構わない?」

マスダ(兄)「それ大した理屈じゃないよな。じゃあ俺が、お前らのことをどう思っているか言ってやろうか」

ミミセン「……なんだろう。すごく聞きたくない」

タオナケ「好きにしろ、嫌いにしろ、なんか言って欲しくない」

マスダ(兄)「少なくとも、お前らのその態度に関してだけ言えば嫌いだ」

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