マスダ宅にて
マスダ(弟)「俺の仲間にドッペルっているじゃん。俺の格好をよく真似する奴」
マスダ(弟)「仲間たちですら俺と間違えるのに、なんで兄貴は見分けがつくんだ?」
マスダ(弟)「……いや、俺の立場だったら簡単なのは分かっているんだよ。自分とは違うのがドッペルなんだから」
マスダ(弟)「そうじゃなくて、もっと普遍的な見分け方を聞いているわけ」
マスダ(兄)「正直、俺からしたらニセウルトラマンとの見分け方を聞かれているみたいでバカみたいなんだが」
マスダ(弟)「それは俺だって分かるよ」
マスダ(兄)「だったら分かるだろ」
マスダ(弟)「ドッペルはニセウルトラマンじゃないよ」
マスダ(兄)「……この不毛な会話、いつまで続ける気だ」
マスダ(弟)「こっちのセリフだ」
マスダ(兄)「いや、そりゃ分かるって。ほら、背丈はほぼ同じでも、全体的なフォルムも違う。弟は角ばっている印象だが、ドッペルは丸っこい。」
マスダ(弟)「へえー、あまりピンとこないけど」
マスダ(兄)「まあ、一番決定的なのは体重だな。ドッペルのほうが若干重い」
マスダ(弟)「ちゃんと答えてくれよ」
マスダ(兄)「マジかお前……じゃあ説明するが、まず全体的な振舞い方だよ」
マスダ(弟)「具体的には?」
マスダ(兄)「だから全体的にだって。仕草とかが、お前と似たような言動を真似しようとしていて、それがかえって不自然になっているわけ」
マスダ(弟)「俺はそれらを自然にやっていて意識していないから、その説明だと分からないんだけど」
マスダ(兄)「……これ、俺たちだけのやり取りじゃ、いつまでも解決しない気がしてきたぞ」
マスダ(弟)「じゃあさ、細かい違いは置いといて『鼻の頭に血管が浮き出る』レベルの方法を教えてくれよ」
マスダ(兄)「その方法だとドッペルに気づかれたら一度きりしか通用しなくなるんだが、まあ方法はあるっちゃある」
マスダ(兄)「ドッペルの奴は照れ屋だから、こうやって顔をマジマジと見てやれば気まずくなって目を背ける」
マスダ(弟)「……それは俺も仲間たちも知ってる」
マスダ(兄)「はあ? 方法を知っているなら、聞く必要ないじゃねえか」
≪ 前 現実 近所の公園広場にて マスダ(弟)「というわけで兄貴に聞いてもさっぱりだった」 ミミセン「マスダの兄ちゃんですら何となくで判断しているのなら、僕たちじゃ見当も...
≪ 前 詰問 タオナケ「マスダの兄ちゃんって、ドッペルのことどう見えているの?」 マスダ(兄)「まあ、弟みたいな奴だな」 ミミセン「それはまたどうして」 マスダ(兄)「そん...
≪ 前 転換 マスダ(兄)「もう少し自分と相手の気持ち両方を整理させてから行動するんだな」 ………… ミミセン「やっぱりドッペル本人に聞くのが手っ取り早そうだ」 マスダ(弟...
≪ 前 小児 マスダ(弟)「ドッペルはほっといて欲しいんだよ」 ミミセン「どうしてそんな現状から逃避することを?」 マスダ(弟)「逃避じゃなくて、“維持”なんじゃないかな...