10年代以降盛り上がった、e-sportsとプロリーグ設立の動きは、その後驚くほどあっさり廃れた。
運営が怪しかったとか、プレイヤーの扱いが悲惨だったとか、いろいろな問題があったが、
何より致命的だったのは、結局ゲームだけできても、その世界以外では全くクールではなかったことだ。
名のある企業の社員が夜毎集まり、己のプライドと会社の名前を背負って戦う。
企業の側も、こうした動きを止めることはせず、むしろ歓迎した。
もちろん、会社の宣伝になるというのもあるが、それ以上の意味があったからだ。
景気が上向かず、給料も上がらない中、学生が企業に期待するのは、もはや余暇の多さのみ。
普通の社員がバカバカしいことをやり、活躍する余裕があることこそ、紛れもなくホワイト企業の証であり、
e-sportsはそれをアピールする絶好の場とされたのである。
物語は、主人公がある業界の中堅企業に入社するところから始まる。
彼もまた学生時代はゲームに打ち込み、仕事はそこそこに、余暇の充実を求めて入社した一人である。
もうちょっと頑張れよ…