レタスなどの店頭価格が、例年の2倍とか3倍とかになっています。
この価格は、どのように決まっているのでしょうか。
初めにことわっておくと、農産物の価格の決定権は、基本的に農家にはありません。
誰が決めているかと言うと、青果市場で農産物を買い付けるバイヤーの権利を持った人たちです。
(一般には仲卸とか言われますが、必ずしも仲卸とは限りません。所定の条件を満たせばバイヤーの権利は買う事が出来ます。ただしかなり高額です。)
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値段が2倍になった、とかいうと、「供給が半分になったのか?」と思うかもしれませんが、多くの場合、そこまで供給は減っていません。
しかし、バイヤー達の買い付けノルマ(今日は最低でもこれだけは仕入れなくてはならないという量)の総量よりも、青果市場に出荷されている物量の方が少ないとなると、バイヤーどうしで争奪戦になります。いわゆる「せり上がる」ってやつです。
供給量が1割足りないだけで、価格が2倍ぐらいに跳ね上がる事もあります。つまり、農家にとっては、この状況はオイシイ。
逆に、生産過剰になると、卸値が半分になることがあります。どのぐらいの生産過剰で半値に下がるかと言うと、ほんの1割程度の過剰生産でそうなってしまうこともあります。
バイヤーがあせってせり落とさなくても、確実に自分の買い付けノルマを達成できそうだ、となると、値段がまったく「せり上がり」ません。
バイヤーとしては、仕入れ価格が下がっても、小売の値段はそこまでさげる必要は無いので、商売としてはオイシイわけです。
しかし、バイヤーとして新規に参入する人というのは、今どきそう多くはありません。そういう状況が長く続くと、バイヤー同士も顔見知りで仲良し、なんていう状況になります。そうすると、「逆談合」とでもいうべき状況が発生します。
入荷量と買い付け量がほぼトントンだったとしても、バイヤーどうしがみんなで共謀して、買い付けの値段を底値まで買いたたくのです。
バイヤーみんなで安く買えて、みんなでWin-Winです。農家にとってはたまったものではありませんが、それが今日の青果市場の日常だったのです。
そういう状況がもう何十年も続いてきました。そして農家は疲弊し、高齢者ばかりになってしまいました。
高齢になると、年金がもらえるので、農産物の利益が無くとも食べて行く事は出来ました。
しかしそういう高齢者も、いよいよ年を取って農業ができなくなりつつあります。ごく少数の若い農家に依存する状況に変化しつつあります。
このことは、覚えておいてください。
もし、レタスが今後、ずっと今ぐらいの値段だったなら、野菜工場も軌道にのるでしょうし、これから農業をはじめようとする人も、サラリーマンなみの収入を得て、地方が復活するかもしれません。
まぁ、きっとそうはならないのでしょうけど。