2016-10-18

レタスなどの野菜の高騰について

レタスなどの店頭価格が、例年の2倍とか3倍とかになっています

この価格は、どのように決まっているのでしょうか。

 

初めにことわっておくと、農産物価格の決定権は、基本的農家にはありません。

誰が決めているかと言うと、青果市場農産物を買い付けるバイヤー権利を持った人たちです。

一般には仲卸とか言われますが、必ずしも仲卸とは限りません。所定の条件を満たせばバイヤー権利は買う事が出来ます。ただしかなり高額です。)

値段が2倍になった、とかいうと、「供給が半分になったのか?」と思うかもしれませんが、多くの場合、そこまで供給は減っていません。

しかし、バイヤー達の買い付けノルマ今日は最低でもこれだけは仕入れなくてはならないという量)の総量よりも、青果市場に出荷されている物量の方が少ないとなると、バイヤーどうしで争奪戦になります。いわゆる「せり上がる」ってやつです。

供給量が1割足りないだけで、価格が2倍ぐらいに跳ね上がる事もあります。つまり農家にとっては、この状況はオイシイ

 

逆に、生産過剰になると、卸値が半分になることがあります。どのぐらいの生産過剰で半値に下がるかと言うと、ほんの1割程度の過剰生産でそうなってしまうこともあります

バイヤーがあせってせり落とさなくても、確実に自分の買い付けノルマを達成できそうだ、となると、値段がまったく「せり上がり」ません。

バイヤーとしては、仕入れ価格が下がっても、小売の値段はそこまでさげる必要は無いので、商売としてはオイシイわけです。

 

若干の生産不足は、農家にとってオイシイ

若干の生産過剰は、バイヤーにとってオイシイ

 

しかし、バイヤーとして新規に参入する人というのは、今どきそう多くはありません。そういう状況が長く続くと、バイヤー同士も顔見知りで仲良し、なんていう状況になります。そうすると、「逆談合」とでもいうべき状況が発生します。

入荷量と買い付け量がほぼトントンだったとしても、バイヤーどうしがみんなで共謀して、買い付けの値段を底値まで買いたたくのです。

バイヤーみんなで安く買えて、みんなでWin-Winです。農家にとってはたまったものではありませんが、それが今日青果市場日常だったのです。

そういう状況がもう何十年も続いてきました。そして農家疲弊し、高齢者ばかりになってしまいました。

 

高齢になると、年金がもらえるので、農産物利益が無くとも食べて行く事は出来ました。

しかしそういう高齢者も、いよいよ年を取って農業ができなくなりつつあります。ごく少数の若い農家依存する状況に変化しつつあります

このことは、覚えておいてください。

 

農家に言わせれば、今の野菜の値段の方が正常かもしれません。

過去何十年も、農産物価格は上がっていなかったのです。

もし、レタスが今後、ずっと今ぐらいの値段だったなら、野菜工場軌道にのるでしょうし、これから農業をはじめようとする人も、サラリーマンなみの収入を得て、地方が復活するかもしれません。

 

まぁ、きっとそうはならないのでしょうけど。

 

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