ハマったばかりのジャンルの公式イベントに、1人で出掛けてみた。
おひとり様の女性に、「この席いいですか?」と話しかけたのがきっかけで、しばらく一緒に会話する事になった。
一般漫画作品ジャンルで、9割がた女性ファンだが、純粋に漫画が好きで来ているファンも多いと思う。
まず隣の席に座ったとたん、
「A×Bの夏コミ原稿中なんだけど、締め切りやばくて」と、言われた。
自分に話しかけているのか、誰か知り合いがいるのか、一瞬のみこめなくて、キョロキョロした。
初対面で、となりの席に座って、最初の会話がそれですか。
相手が腐女子とは限らないし、仮にそうだったとしても、カップリング違うかもしれないし、
そもそも公の場で、公式イベント中に、そんな話をしてほしくない。
「あ、そうなんですか」
「A×Bもいいけど、クロスオーバーで、他作品C×Bも描きたくてー」
彼女の話を聞くのは耐えられないが、今から席移動をしたら、かなり後ろの席になってしまう。
前の座席の女性が、怪訝そうな顔で、私たちのほうを振り向いたような気がした。
私も同類だと思われているんだろう。
恥ずかしい……。
しかし席を移動するのも悔しい。
腐った二次創作なんか知らないフリをしようと、
と、返事してみたら、クロスオーバーや、他ジャンルの解説が始まった。
そしてスマホを見せてきて、
「これ、私の原稿。こんな絵を描いてます! Pixivにも載せてるんで!」
と、アピールしてきた。
なぜ自分の話ばかりするの?
私は原作のファンであって、同人作家のあなたのファンではない。
年齢を聞いたら、40歳前半の方でした。
ツイッターのIDを聞かれたので、せっかくの縁なので、相互フォローをした。
イベント後に食事に誘われたけど、すぐに帰らなければいけないと言い訳をして、別れた。