うちの家系で俺の父だけが唯一経済的に一定の成功を収めていたということを最近知った
そして俺の親類縁者の多くが、俺が生まれてすぐくらいの時期に大きな借金を背負っていたようだった
そのため、父は路頭に迷いそうになっていた親類縁者の世話をそれなりにしていたらしい
俺の子供時代の母親の記憶が非常に曖昧なのもそれが原因だと知った
俺の母親は父と共に今も健在なのだが、俺自身の「母親」の記憶に実母の印象はあまりない
何故ならば、当時の俺の家には母と同年代の女性が何人も住んだり出入りしたりしており、全員が何らかの形で俺の母親の役を演じていたからだ
母の姉妹、父の妹(要するに俺の叔母)、父の従姉妹と、時期や期間にばらつきはあるが、俺が「母親」と認識していた女性は(実母も含めて)5人か6人いたと思う
幼稚園の卒園式、小学校の入学式、毎年行われる運動会や授業参観、小学校の卒業式、中学校の入学式あたりまでは常に前述の女性陣の誰か一人か二人が出席していた記憶がある
あるとき親しい友人にそれを話したら「まるで現代の一夫多妻制だな」と呟いてなるほどと感じた
もっとも、父と母以外の女性達の間には特にこれといったものはなかった
実際のところ俺が十歳になるまで父と母と俺は同じ部屋で川の字になって寝ていた
居候していた女性も一人は最初から既婚者で、残りは俺の家から離れた直後に結婚していた(むしろ、結婚が決まるまでの間だけ俺の家に住んでいた、というべきか)
何となく今思い出したのでここに書いてみた