猫が好きなんだけど実際家に迎えることを考えるとさまざまな問題が生じてくる。
まず入手手段。ペットショップは明らかに非人道的な施設である。狭いし見世物小屋だしそれに狭い。ここで買えば商売へと加担することになる。
保健所ならどうか。救われるべき命を選別する資格が果たして自分にあるのか?
ダンボールの中に捨てられていれば猫と私とでwin-winだけどあまり捨てられていない。拾う奴がいるから捨てるんだという議論もあるだろう。
次に飼育環境について。外飼いは危険がいっぱいなので家内で飼うのが猫の心身のためである。じゃあ猫の自由意志はどうなんだということになる。猫は毎朝日がさすと、ソファーの背もたれに飛び乗ってベランダをじっと見つめている。
避妊手術の問題もある。猫が、仕掛け絵本から聞こえる子猫の鳴き声を実際の子猫と誤認して絵本を保護するという動画があって、視聴者は皆メロメロになっていたわけだが、切ない動画でもある。姉は手術後の姿を見て心を痛めたそうだが、こうすればいつまでも子猫の気分でいられると説明を受けていたので手術を受けさせたらしい。恐ろしい話でもある。
彼女はもう7歳になるが、たまに部屋から抜け出るベランダより外の世界を知らないわけである。サボるとすぐにゲロを吐くのでブラッシングが欠かせない。姪がどたばた走ってくると、迷惑そうに距離をとって耳をヒクヒクさせている。たまに留守中の世話を頼まれると、ドアを開けたとたんに鳴きながら足に体をすりつけてきて、足元でごろごろと転がる。ソファーに座っていると、膝の上に乗ってきて鼻を顔にグイグイ押し付けてくるのだが、10分もすると飽きて寝床へ行ってしまう。
こうやって姉の飼ってる猫をたまに愛でる分には倫理的な問題をアウトソーシングできる。死に際も看取らなくて済むだろう。
結局猫を飼うよりは、飼い主と仲良くなった方がお得である。