2014-10-17

妻はおしっこをもらしてしまった

高速のPAで、トイレをすませるように言った。

4歳になる息子は、「大丈夫」と大見得を切っていたが、すごい内股を擦り合わせていたので、無理やり連れて行った。

妻はそれを見て苦笑していた。

PAを抜けると、事故による通行止めがあった。

それに伴って、1mmも進まない渋滞が発生した。

渋滞は車内の空気を淀ませる。

妻は明らかにいらいらした様子で、息子を叱り出したり、おれを叱ったりした。

渋滞がはじまって1時間ぐらいたったころ、妻は「次のPAまでどれぐらいかかるか?」と聞いてきた。

交通規制がいつ解除されるかは、分からない。

うーん。と答えあぐねていると、耳元で「おしっこにいきたい」と言われた。

なんだって

車の現在地高速道路の陸橋だ。

路肩めいた個所はない。

また、規制解除されたら発車を余儀なくされる位置であり、降車はよくない。

「どれぐらいがまんできそう?」

「もう無理かも」

オーケー落ち着け

おしっこに関しては、もう漏らしてもらうしかない。非情決断だ。

その上で、車内の被害を最小限にして、なおかつ妻のプライドをどうするかという問題なのだ

トランクビニールシートがあった。

あれを、妻の座る助手席にしこう。

次に息子だ。

おしっこ漏らす、漏らさないみたいな話は大好きなやつで厄介だ。

ようし。

「おい、妖怪ウォッチはイヤフォンつけてやれ」

「えっ? 車の中では気持ち悪くなっちゃうからやらないよ」

渋滞で止まってんだから大丈夫だよ。あと、音量最大にすれば気持ち悪くならないし、臨場感が出るぞ」

「そうなの! やってみよう」

「あ、鼻にティッシュ詰めとくと、もっと気持ち悪くならない。あと、運転の邪魔から、後ろ向いてやれ」

「あ、はーい」

降車して、ビニールシートをトランクから持ってきて、妻の座席に敷いた。

妻はパンツを下ろして、おしっこを漏らした。

彼女は泣いていた。

情けなかったのだろう。

しかし、きみが泣くことはない。

プロポーズとき結婚ときに誓ったように、きみの笑顔保証する。

妻には運転席に移動してもらって、おれはおしっこまみれのビニールシートが敷いてある助手席に移動した。

そして、おれもおしっこを漏らした。

やがて、車は動き出し、次のPAビニールシートを捨てた。

妻は、「あなたバカね」と言いながらも、涙は消えていた。よかった。

息子は、大音量と鼻栓で車内でゲームしても気持ち悪くならなかったことに感動していた。

なにはともあれ、今日平和でよかった。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん