自分には5歳の息子がいる。
1歳半から3歳半まで、元々精神は病んでいたのだが、あまりに調子を崩して実家に帰っていたので、
義母と夫が育てていた。
子供の人生の半分弱は物理的に触れ合ってないし、電話もしない、文字通り音信不通の状態。
そして、産んでから一度お別れする時まで、正直可愛いと思ったことがなかった。
母親だからという義務感と、子供はお母さんが必要だから、という周囲の言葉で仕方なくやって
いたようなもんだった。
で、メンタル面も2週に1度の通院程度で落ち着いて帰ってきたのが1年半前。
子供は割とおとなしい、人見知りは激しいけど、いつもニコニコしている子になっていた。
「ちゃんと育ったんだなぁ」
と、夫と義母に感謝してもし足りないくらい、良い具合に育っていた。
それでも、愛情って意味では??で、くっついてくれば非常にうざったいし、疲れてる時に遊んでと
言われれば即NG出すし、子供より自分のしたいことを優先して、更に余裕がある時(殆ど無いのだが)
にしか上手く接することができなかった。
「子供への愛情」「母性本能」って本当にあるんですか?普通の人にはあって私にはないんだから
私自身の感情が欠損してるんじゃないか?と、凄く不安、けど行動原理は変えられぬ、そんな日が続いていた。
で、ある日。
いきなり可愛く見えるようになった。
なんじゃそら、である。驚天動地である。自分でも何が起こったのか解らなくて大混乱。
「あ、あ、あれ?」
崖から転がり落ちるような勢いで、何かにつけて可愛い、多少疲れててもじゃけんにできない、
つまるところ、私は5年間かけてようやく「母性」というものが発芽して、にょきにょき育っている
どうも私の「母性」というのは元からあったものではなく、たとえば「欲しいものがある」や「創作したい」
「夫を愛している」など、削っても損害が少ない既存の感情や欲求を削って、その分を子供への
「何かをしてやりたい」や「ずっと笑っていて欲しい」「どうやって育てていきたい?」に変換しているようだ。
悪いことじゃない、むしろいいことだと分かっているけれど不安はある。
こういう「母性」が合ってるか間違えてるかは解らないとか。
けど、自分の子供への愛情はこのような成り立ちでしか作ることができないだろう、という自覚もある。
「人間なんてそんなもんだよ?」
とサラリと返されました。
そんなものでよかったんだな。