2021-10-09

なぜリベラル派は中間層に支持されないか

東京大学豊橋技術科学大学香港城市大学の国際共同研究グループは、1億2千万件を超える安倍元首相に関するツイート(「安倍」または「アベ」が含まれツイート)を解析し,保守派ツイートの方がリベラル派のツイートよりも穏健な中間層によく届いていることを明らかにしました.

党派的な傾向の弱い中間層に対して保守派リベラル派のどちらの方がよりよくリーチできているかは,ソーシャルメディア上の政治コミュニケーション有効性を理解する上で重要です.本研究の知見は,ツイッター上の党派的言説の拡散において保守派の方がリベラル派よりもより効率的コミュニケーションを行っており,このことが現実政治におけるリベラル派の苦境の一因となっている可能性を示唆しています

https://news.yahoo.co.jp/byline/toriumifujio/20211005-00261538



この記事について個人的な雑感。

(1)リベラル派には学者文化人が多く、言葉遣い一般人には若干難しい傾向がある。保守派匿名一般人が多く、言葉遣いが易しいだけではなく、受けるのであれば下品言葉遣いも厭わない。

(2)リベラル派は学者弁護士など一般的社会的地位が高く、周囲の評判も気にするので、素性の定かではない中間層フォローすることは避ける。保守派アカウントは多くが一般人で、学者でも周辺的な人なので、フォロワー数を求めて恐れず中間層とつながりにいく。

(3)リベラル派はその性質からして、多数派常識的直感感情に反するような、普遍的原則正義に訴えることが多い。逆に保守派は、多数派感情常識に訴えた物言いが多い。

(4)リベラル派は政治的には少数野党であり、現状の政治については批判非難ベースとした物言いがどうしても多くならざるを得ない。保守派絶対多数の与党なので、現状の政治に対しては称賛や擁護ベースとした物言いが多くなる。「安倍保守/反安倍リベラル」という調査手法問題点については、既に菅原琢先生などの批判がある。

個人的には(2)が1番大きいと思う。要は、リベラルアカウントには社会的地位の高い人が多いため、フォロワー数を増やすよりも、炎上ネタになることを避けるのに対して、保守派アカウントの多くは一般人で、フォロワー数を増やすために、炎上を恐れずなんでもやる傾向がある、ということだと思う。一言で言えば、リベラル派は活字文化では強くてもSNSでは弱いという一般的な傾向があるのだと思う。

リベラル派の政権批判の口調はしばしば過激だけど、「リベラル」「左翼」という括りにいったん入ってしまえば、それが炎上することは基本的にない。ツイッター党派性が強まってしまう傾向がある要因の一つは、そのほうが炎上確率が減って平和になるというきわめて単純な理由がある。内容のほとんどが政権与党への罵倒でありながら、炎上知らずで安定感は群を抜いている金子勝大先生が好例。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん