2024-07-27

迷い猫を助けました

ヒマだから書いてみるね。

何年も前の話です。

とある2月のある日、私は近所の実家を訪ねていました。

母ととりとめないことを話していたら、ふと「迷い猫のチラシが入っていた」と言いだしました。

今まで迷いペットのチラシは数多く見たけれど、その発見自分が関わった事は一度もない。

故に、その迷い猫に私が関わることはない。

私は猫を好きだけど、そのチラシに興味を示さなかったし、近所であるうちには配布はされていなかった。

しかし、膝の痛みの為立ち上がりに難がある母は、わざわざ立ちあがって片付けたチラシを取りに行って私に見せた。

そしてそのまま、母は風呂に行ってしまった。

やることのない私はぼんやりとその写真を眺めた。

名前はちびた。持病ありで投薬が必要

白黒の模様は、鼻に特徴があった。

猫が脱走して5~6日目は経っていただろうか。

寒空の下、持病のある猫は薬を飲まないで大丈夫だろうか。

チラシを配った飼い主は心配しているだろう。

せめてお祈りしよう。

迷える猫よ、家に帰れ。

母が風呂から出るのを見届けた私は、チラシを片付けるとそのまま家に帰った。

翌日は祝日で、姉に「買い物に行こう」と言われたので、一緒に自転車で家を出た。

風もなく穏やかな日だったと思う。

しばらく走ると、仔猫がいるのに気がついた。

真冬のこの時期に、このサイズ仔猫いるかなあ。

そもそも野良猫自体、もうめったにこのへんでは見かけない。

おまけにこの猫、日陰にいる。

一歩ずれれば、日向になるのに。

あらゆる違和感がひっかかり、私はじろじろと猫を見た。

目をつぶったままぴくりともしない猫がどうにも気になり、私はゆっくり自転車を止めた。

私は迷い猫のチラシをすぐには思い出さなかった。

なにより、写真と実物は印象が異なるのだ。

まじまじと顔を見ているうちに、はっと閃いた。

あの、黒い鼻づらにひびが入るように左右から互い違いにはいる白。

日見た、チラシの猫・・・ではないか

チラシの印象ではこんなに小さい猫のイメージではなかったが、この特徴的な模様はそうはないはずだ。

かめなくては!!

幸い、母宅までいくらでもないところにいた。

姉に猫を見張るよう頼むと、私は猛ダッシュでチラシを取って戻った。

実際のチラシと見比べた。

去勢済の雄だし、模様の特徴も一致している。

ここまで確認できれば、飼い主に連絡してもいいだろう。

「ちびた、ちびた」

反応はない。

抱き上げてもじっとしているし、目を開けない。

大分弱っている。

万が一にも逃げられないように、年の為に両手でそっと包んだ。

姉がチラシの電話番号にかけると、飼い主にすぐに繋がりそのまま迎えにくるというので、電話誘導した。

取る物もとりあえず家を出てきたのだろう、ほどなく現れた車から女性が二人(三人だったかなあ)降り立った。

「ちびた!」

猫の耳がぴっと動いて、声を聞いてるのがわかった。

さっき呼びかけたときは、無反応だったのに。

ああ、飼い主で間違いない。

「もうだめかと思ってました」

泣きださんばかりの飼い主にお礼を言われ、住所と名前を乞われたのでチラシの裏に書いて渡した。

かかりつけの動物病院にも連絡がついたようで、そのまま向かうようだった。

お礼を言い足りないくらいの様子だったけれど、猫を早く病院に連れて行ってあげてください、といって見送った。

母がわざわざチラシを出してこなければ、繋がらなかった出会いだったと思う。

後日、二人分のチョコスタバカードが届いた。

今でも付近を通ると思い出すことがある。

ちびた、元気にしているだろうか。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん