2024-07-23

[] ミクロ経済学概要

1. 一般均衡モデル

経済を I 個の財・サービス、J 人の消費者、F 社の企業から成るとする。

1.1 消費者最適化問題

消費者 j ∈ {1, ..., J} の問題は以下のように定式化される:

 

max Uⱼ(xⱼ)

s.t. p · xⱼ ≤ wⱼ + Σ(f=1 to F) θⱼᶠπᶠ

 

ここで、

Uⱼ: 消費者 j の効用関数(強い単調性、強い凸性を仮定

xⱼ = (x₁ⱼ, ..., xᵢⱼ): 消費ベクトル

p = (p₁, ..., pᵢ): 価格ベクトル

wⱼ: 初期賦存

θⱼᶠ: 消費者 j の企業 f への所有権シェア

πᶠ: 企業 f の利潤

 

一階条件(Kuhn-Tucker条件):

∂Uⱼ/∂xᵢⱼ ≤ λⱼpᵢ, xᵢⱼ ≥ 0, xᵢⱼ(∂Uⱼ/∂xᵢⱼ - λⱼpᵢ) = 0 ∀i ∈ I

λⱼ(wⱼ + Σ(f=1 to F) θⱼᶠπᶠ - p · xⱼ) = 0, λⱼ ≥ 0

 

ここで、λⱼ はラグランジュ乗数。

1.2 企業最適化問題

企業 f ∈ {1, ..., F} の問題

 

max πᶠ = p · yᶠ

s.t. yᶠ ∈ Yᶠ

 

ここで、

yᶠ = (y₁ᶠ, ..., yᵢᶠ): 生産ベクトル(正は産出、負は投入)

Yᶠ: 企業 f の生産可能集合(閉凸集合と仮定

 

一階条件(利潤最大化条件):

p · y ≤ p · yᶠ ∀y ∈ Yᶠ

1.3 市場均衡条件

市場清算条件:

Σ(j=1 to J) xᵢⱼ = Σ(f=1 to F) yᵢᶠ + Σ(j=1 to J) wᵢⱼ ∀i ∈ I

 

ここで、wᵢⱼ は消費者 j の財 i の初期賦存量。

 

ワルラス法則

p · (Σ(j=1 to J) xⱼ - Σ(f=1 to F) yᶠ - Σ(j=1 to J) wⱼ) = 0

 

2. 一般均衡存在証明(概略)

1. 価格単体を定義:Δ = {p ∈ ℝ₊ᴵ | Σ(i=1 to I) pᵢ = 1}

2. 超過需要関数 z(p) を定義

3. z(p) の連続性を証明

4. 予算制約とワルラス法則より、p · z(p) = 0 ∀p ∈ Δ を示す

5. 境界条件:pᵢ → 0 ⇒ zᵢ(p) → +∞ を証明

6. Kakutani の不動点定理適用し、z(p*) = 0 となる p* ∈ Δ の存在を示す

3. パレート最適性の数学的特徴付け

社会的厚生関数 W = W(U₁(x₁), ..., Uⱼ(xⱼ)) を最大化する問題を考える:

 

max W(U₁(x₁), ..., Uⱼ(xⱼ))

s.t. Σ(j=1 to J) xⱼ = Σ(f=1 to F) yᶠ + Σ(j=1 to J) wⱼ

yᶠ ∈ Yᶠ ∀f ∈ F

 

一階条件:

W/∂Uⱼ · ∂Uⱼ/∂xᵢⱼ = μpᵢ ∀i ∈ I, ∀j ∈ J

p = ∇yᶠπᶠ(yᶠ) ∀f ∈ F

 

ここで、μ はラグランジュ乗数、∇yᶠπᶠ(yᶠ) は利潤関数の勾配ベクトル

 

これらの条件は、消費の効率性、生産効率性、そして消費と生産効率性を同時に表現している。

4. 厚生経済学の基本定理

第一基本定理:完全競争市場均衡はパレート最適である

証明には、均衡条件とパレート最適性の条件の同値性を示す。

 

第二基本定理任意パレート最適資源配分は、適切な初期賦存の再分配の下で、競争均衡として実現可能である

証明には、分離超平面定理を用いる。

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