2024-01-02

初夢をみた

夢の中では神様が出てきて、見た目はさだまさしそっくりだった。

その神は天秤のようなものを手にしながら「これから自分未来のことが全て分かるように出来るけど、どうする?」と聞いてきた。

夢の中の俺は当然、頷いた。

やってくださいと懇願し、神はニヤッと笑うと光に包まれ、姿を消した。

それから起きると自分アパートで、頭のなかで妄想がブワッと広がった。妄想、というかイメージのようなものだった。既視感のある光景のような。そういう意味では思い出のような感じでもあった。なんだか不思議な気分のまま外出し、記憶を思い出すように「あっ」と閃き、前方をみると野良猫が歩いてきた。脚にすりすりしてきて、この光景には見覚えがあった。

そのとき神様に会ったことも、そこでしたやり取りのことも思い出した。

猫が寄ってくるのが分かったのもそういうことか…と理解し、それから生活は一変した。

仕事ではミスがなくなり、成果を認められるのは当然で、何故なら既に知っているから。

から彼女出会うのも必然で、後に結婚することさえ知っていた。

全ては順調で、不幸に苛まれることもなく、失敗することはなくなった。

子供を設け、家族三人での幸せ生活が始まった。幸福だった。何もかも。

しかしある日の、なんでもない日常の隙間とも呼べる時間でのことだった。

休みオフィス街での昼食、何を食べようか。そんなことを考えながら歩いていたときのこと。強風が吹いた。その風は俺の心を妙な角度で撫で、俺の足を止めた。

あっ…と思った。自省するように鑑みると、自分がこのあと何を食べるのは既に知っていたのだ。同時に、あのとき神がニヤッと笑った顔を思い出す。

ああ、そういうことか…。

全てを知ることは、本当に退屈で、最悪なことだったんだなと。既に全てが遅かった。取り返しはつかない。絶望に浸り、自然に涙が流れたところで目が覚めた。

夢と分かって心底ほっとした。

変な初夢だったなと思い、それでいて非常に印象的だった。それに妙にリアルでもあった。

その後外出をしたけど野良猫を見かけることはなく、松屋牛丼を買って帰ってきた。

未来のことは全く分からないが、それは幸せことなのかもしれない。

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